ドイツ学術情報(過去の分)

2016年

『数字でみる教育と研究 2016年』が発表(12月29日)

156のドイツの大学に対し、2016年から2020年にかけて修学環境改善のために総額8億2000万ユーロが助成される予定である。2010年、連邦と州は学生の指導の質向上に向けて大学を支援することを目的に、教育の質向上のための協定を立ち上げた。2016年はこの協定の第二期が開始した。

500人の女性教授が、女性教授プログラムによって支援された。2008年に始まったこの女性教授プログラムは、ドイツの大学における女性教授の数を増やし、大学内の男女平等を推進する目的のものである。

月額735ユーロ、これはこの冬学期から改定された連邦奨学金による最高支給額の数字である。最高支給額および所得控除額は7%向上し、住居手当や児童手当も同様に増額された。また、連邦奨学金の受給資格のある生徒や学生の範囲も大きく広げられた。2015年からすでに連邦は連邦奨学金の資金を全額負担し、州の負担を軽減させている。

1000のテニュア・トラック教授のポストが、若手研究者支援プログラムにより増設される。連邦と州が昨年の春に合意したところのものである。テニュア・トラック制度がドイツで初めて全国規模で導入されることとなり、これによって従来の任命制度と異なる方法で教授になることが可能となった。テニュア・トラック制度は、教授へのキャリアパスを透明化し、同時に優秀な教授の獲得競争においてドイツの学術システムをより魅力的にするだろう。2017年以降、連邦は15年にわたる助成プログラムに対して10億ユーロ拠出する予定である。

最大50のエクセレンス・クラスターが、2019年以降、連邦・州の合意により決議したエクセレンス戦略のもとで助成される。ドイツ研究振興協会(DFG)はドイツ学術審議会(WR)とともに、学術にのっとった審査および選考を実施する意向である。2018年9月に、最終採択結果が発表される見込みである。エクセレンス・イニシアティブの後継プログラムを実施することによって、ドイツの大学の最先端研究の国際的競争力をさらに強化することがねらいである。クラスターの数を満たした大学は、次のステップとして、エクセレンス大学の選考へ応募することが可能である。連邦と州は、エクセレンス戦略(“Exstra“)に年間5億3300万ユーロを拠出する予定で、このうち75%を連邦政府が負担する。

BMBF: https://www.bmbf.de/de/das-bildungs-und-forschungsjahr-2016-in-zahlen-3734.html

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大学における教育や研究目的による著作物の使用について暫定的な協定で合意(12月23日)

各州文部大臣会議 (KMK)、文芸著作権管理協会 (VG Wort)、ドイツ大学長会議 (HRK)は、教育機関等による授業および研究を目的とした著作物の公衆提供について定めたドイツ著作権法第52a条に基づく大学の使用に対し、2017年9月30日までに再度包括払いを行うことで合意した。

また、KMK、VG Wort 、HRKは全ての関係者にとって実行可能で適切な解決策を確保するため、共同作業グループを設けることを決めた。共同作業グループは、2013年3月20日のドイツ連邦裁判所の判決(I ZR 84/11)を考慮し、2017年10月1日までに、ドイツ著作権法第52a条に基づく使用に対し、VG Wortへの著作権法的請求補償のための解決策を開発することとした。

HRK: https://www.hrk.de/presse/pressemitteilungen/pressemitteilung/meldung/vorlaeufige-vereinbarung-zur-verwendung-von-schriftwerken-fuer-lehre-und-forschung-an-hochschulen-4091/

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ドイツ大学長会議(HRK)がアクレディテーションに関する連邦協定の合意についてコメント(12月9日)

ドイツ大学長会議(HRK)のヒップラー会長は、各州文部大臣会議(KMK)が昨日合意した連邦のアクレディテーション制度の協定について「必要な変化に向け第一歩である」と述べた。2月のドイツ連邦憲法裁判所の決定後、手続きに向けた法的枠組みの再編が必要となった。

ヒップラー会長は「しかしながら、残念なことにKMKはすべての州をこの協定に取り込むことができなかった。したがって、特定の州に対する特別な協定が設けられることが再度予想されるが、これは学術界にとっても学生にとっても有益なことではない」と付け加えた。

「今重要なのは、州で共通したアクレディテーション手続きに関する枠組み規則によって、どのように連邦協定が実施されるか、ということである」とHRKのブルクハルト理事は述べた。「我々は、大学が研究と教育を質の高い自律した方法において整備できるよう、枠組み規則が必要な自由を確保するものであると確信している。細かすぎる規則は相応しくなく、連邦憲法裁判所の決定に反しうるだろう。我々は、常々枠組み規則の設計には学術界が関与することが重要であると考えており、それに向けて建設的に協働する準備が整っている」  

HRK: https://www.hrk.de/press/press-releases/press-release/meldung/hrk-cautions-against-inconsistent-or-overly-detailed-implementation-rules-following-federal-states/

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ドイツ研究振興協会(DFG)が研究不正行為に対する懲戒事例を発表(12月9日)

ドイツ研究振興協会(DFG)の協議会は、2016年12月8日にボンで行われた会議において、DFGの科学的不正に関する懲戒規定の手続きにのっとって、2つの懲戒処分を科すことを決定した。いずれの事例においても、協議会はDFGの研究不正行為に関する申し立て委員会の勧告に従った。

最初の事例は、ブレーメン大学で雇用され2014年にDFGのハイゼンベルク教授称号を授与された薬理学者メドラー教授による研究不正行為である。彼女の一連の論文に関する研究不正の申し立てがなされ、2015年3月より調査が開始された。当時ブレーメン大学においても不正に関する調査が行われていたため、DFGは調査およびハイゼンベルク教授称号に関連した各手続きを延期し、2016年9月に大学の調査が完了したのちDFGにおいて手続きが再開された。なお、大学ではメドラー氏が繰り返し過失と義務違反を行っていたと学長によって報告された。

DFGの委員会は、この不正データを提示した責任はワーキンググループのリーダー的役割を果たしており論文の著者でもあるメドラー氏にあるとした。委員会の見解では、メドラー氏が個人的に不正データを提示したという証拠はない。むしろ委員会は、メドラー氏のワーキンググループに所属する他の著者がこの図の再利用に対する責任を持っていると結論付けている。しかしながら、委員会はメドラー氏が自身の研究スタッフに対する監督責任を果たさず、共同責任と取らざるを得ない、またDFGの手続き規定に基づく研究不正手続きを行わざるを得ない状況にあるという結論に達した。

DFGの手続き規定に則った適切な措置として、調査委員会は協議会に対し、2014年にメドラー氏に対し授与したハイゼンベルク教授称号を撤回することを勧告し、協議会はこの勧告に従うことを決定した。

「監督責任や組織の任務遂行能力における誤りや欠如をふまえると、メドラー氏はハイゼンベルク教授称号を授与される要件を満たしていない。ハイゼンベルク教授というのは、キャリアにおける節目の称号と認識されており、DFGにより毎年数名のみに授与されるものである。この制度はプロジェクトに対して助成するのではなく、厳格な基準にのっとって個人に対して授与されるものであり、受賞者が誰であるかということを重要視している。メドラー氏はもはやその要件を満たしておらず、そのため今日ではハイゼンベルク教授称号を授与されるものではない」と、DFGの事務総長であり、また研究不正疑惑に関する調査委員会の委員長でもあるツヴォネク氏はこのように述べた。しかし、委員会はメドラー氏に対し、外部資金への申請資格は引き続き保持されるべきであるとの考えから、資格停止や将来的な制約が検討されることはなかった。

第二の決定として、協議会は他の著者に対し書面にて懲戒処分を行った。今回は、DFGの助成を受けて最近発表された論文のレビューにおいて、過去に発表された研究と同一の数字が論文に含まれていることが問題視された。慎重な調査と本人および彼女のワーキンググループのリーダーと専門家の主張に基づいて、DFGの調査委員会は、提出された不正データが用いられた論文は責任著者として彼女の名前が記載されている事実がある以上、この研究者に責任があるという結論に達した。委員会は、不正データを個人として提示したという証拠は見つけられなかった。しかし、責任著者として誤った図が使用されているということには気付けたはずである。

DFG: http://www.dfg.de/en/service/press/press_releases/2016/press_release_no_58/index.html

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エクセレンス戦略下でのエクセレンス・クラスターへ192件の申請が表明(12月9日)

大学におけるトップレベルの研究を支援するエクセレンス・イニシアティブの後継プログラムであるエクセレンス戦略について、大学の関心と今後の競争過程の規模に関する最初の指標が発表された。エクセレンス・クラスターの第一申請書を提出するという意向表明書は、2016年12月1日を締切として、合計192通DFGに提出された。DFGは連邦・州政府の合意に従ってエクセレンス・クラスターの審査を実施する予定である。

192通の意向表明書のうち、7通の3つの研究所によるグループを含む44通は大学コンソーシアムによって共同提出されたものである。3つの研究所によるグループは、2016年9月末に公開された公募により許可されたグループの上限である。

意向表明書の提出の後は、大学は2017年4月3日までに、DFGに対してエクセレンス・クラスターの第一申請書を提出する。申請後は国際的な審査委員らによって評価され、その後2017年9月末に主に国外からの39人の研究者らで構成される専門家委員会によって第二段審査へ進む申請書が決定される。最終的な結果は2018年9月に、エクセレンスコミッションによって決定される見込みである。支援は2019年1月開始予定。

エクセレンス・クラスターの採択数を満たした大学のみが、ドイツ学術審議会(WR)によって実施されるエクセレンス大学に申請書を提出する資格を得る。エクセレンス大学への申請締切は2018年12月で、2019年に最終結果が決定される。

DFG: http://www.dfg.de/en/service/press/press_releases/2016/press_release_no_56/index.html

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エルゼビア社とのライセンス契約交渉が難航(12月1日)

数ヶ月にわたる集中的な交渉の結果、エルゼビア社はドイツ学術機関連盟に対し、学術出版物にアクセスするための全国規模のライセンス契約に関する最初の案を提示した。しかしそれは、目下40%の売上利益率があるにも関わらず、今後も現状以上のライセンス価格によって契約しようとするもので、ドイツ学術機関連盟の信念からすれば、オープンアクセスの原則とフェアな価格形成に則るものではない。エルゼビア社は、出版物をよりオープンに使用でき、かつ出版実績に基づいた透明性あるビジネスモデルを拒否しているのである。ドイツ学術機関連盟は当該案を拒否し、出版社に対し透明かつ持続性ある提案を行い、交渉の再開を要請している。ほとんど無償で出版社の評判に貢献しているのは研究者たちであるという事実は、ビジネス関係においても考慮されなければならないだろう。

この交渉は「DEAL-大手学術出版社出版物の全国規模ライセンス契約」プロジェクトの一環であり、このプロジェクトはドイツ大学長会議(HRK)の提起によりドイツ学術機関連盟が開始したものである。交渉はHRKのヒップラー会長によって進められており、契約の締結は2017年1月1日を目指している。

シュプリンガー・ネイチャー社とワイリー社とは2017年1月に前段階となる会談が実施される。前述のビジネスモデルは推奨モデルとして他の出版社にも適用されることが望ましい。

AvH: https://www.humboldt-foundation.de/web/pressemitteilung-2016-31.html 

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