ドイツ学術情報

  • DFGのDorothee Dzwonnek事務総長退任(11月12日)記事を読む
  • 科学における情報セキュリティ:HRK勧告とガイダンス(11月7日)記事を読む
  • Catherine Heymans氏がマックス・プランク・フンボルト研究賞を受賞(10月29日)記事を読む
  • 新たな検索ポータルサイト「GERiT」:2万5千を超えるドイツの大学や研究機関に関する情報を掲載(10月29日)記事を読む
  • 持続可能な社会のための研究に取り組む若手研究者たち(10月22日)記事を読む

 

DFGのDorothee Dzwonnek事務総長退任(11月12日)

ドイツ研究振興協会(DFG: Deutschen Forschungsgemeinschaft)Strohschneider理事長の発表は次の通り。

「DFG協議会の要請により、Dzwonnek教授は事務総長の職を辞することを公表し、秩序ある後継への道を開いた。
Dzwonnek教授は、DFG事務総長として11年以上にわたり、成功を収めた。DFGの協議会は、多くの功績と成果に感謝している。
Dzwonnek教授は、DFGの機関本体や委員会と常に建設的に協力し、多くの重要なプロジェクトを成功裏に立ち上げ、実施してきた。在任中、オフィスの再編成や、人事とコンプライアンス管理のための専門的な新しい手続きと手段の全国的な導入が行われた。特に、ドイツ学術機関連盟における学術自由法に関する交渉、研究活動における不正行為防止の順守、および学術システム全体における研究指向の平等基準の遂行には、特別にコミットメントした。
DFGはDzwonnek教授に心からの感謝の意を表する。Dzwonnek教授が、今後もドイツの学術システムにおいて重要な役割を果たし続けることができると、DFGは確信している。」

Dzwonnek教授の事務総長退任は、11月12日から有効となる。

 

DFG: http://www.dfg.de/service/presse/pressemitteilungen/2018/pressemitteilung_nr_52/index.html

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科学における情報セキュリティ:HRK勧告とガイダンス(11月7日)

ドイツ大学長会議(HRK: Hochschulrektorenkonferenz)のAlt会長は、11月7日にベルリンで行われた記者会見で次のように述べた。
「大学は、多くの機密性の高いデータを扱っている。そのため、情報セキュリティは大学に深く関係するトピックである。企業との連携においてだけでなく、特に研究においてや、学生データの管理においては、機密性の高いデータが蓄積される。一方で、それらのデータは、自由な研究・教育や重要な学術交流が妨げられないような方法で、常に保護されなければならない。」

11月6日にリューネブルクで開催されたHRK総会では、以上のような目的のために、中間管理職レベル向けのガイダンスに加えて、トップクラスの学生向けの推奨事項を含めた文書が採択された。この文書の準備に携わった、HRKのGrossデジタル・インフラ担当副会長は次のように述べた。「この文書の採択は、私たちがこのトピックに取り組むことの重要性を示している。大学は、国際的な協力関係を持つとともに、多数のプロジェクトが幅広く実施し、またスタッフの入れ替わりも激しいため、とりわけ脆弱である。そのため、大学の経営管理者は、情報セキュリティを永続的な課題として考えなければならない。また、中間管理職レベルでは、個々のケースにおける適切な対応策を永久的に確立する必要がある。さらに、必要な資金は、国の資金の一部として、そしてプロジェクト資金を通じて提供されなければならない。」

HRKの採択文書は、情報セキュリティをITセキュリティに縮小することはできないことを強調している。情報の保護目標とリスクアセスメントの定義は、法的に定められた枠組みの中における大学自身の責務であり、ITサービスのプロバイダーに任せることはできない。採択文書に含まれるガイドラインは、普遍的な有効モデルではなく、意識を高めるための措置や、データ分類、およびデータ管理計画の策定のための提案について記述されている。

 

HRK: https://www.hrk.de/presse/pressemitteilungen/pressemitteilung/meldung/informationssicherheit-in-der-wissenschaft-hrk-empfehlung-und-handreichung-4451/

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Catherine Heymans氏がマックス・プランク・フンボルト研究賞を受賞(10月29日)
英国の天体物理学者、150万ユーロの賞金を受け取る

エディンバラ大学(スコットランド)のCatherine Heymans氏が、マックス・プランク・フンボルト研究賞の初代受賞者となった。賞金150万ユーロの当該賞は、連邦教育研究省(BMBF: Bundesministeriums für Bildung und Forschung)から資金提供を受け、マックス・プランク協会(MPG: Max-Planck-Gesellschaft)とフンボルト財団(AvH: Alexander von Humboldt)により共同で授与された。ダークエネルギーに研究の焦点を当てる天体物理学者のHeymans氏に加えて、数学者のSam Payne氏、ロボット工学専門家であるRobert Wood氏に、マックス・プランク・フンボルト・メダルと賞金6万ユーロがそれぞれ贈られた。これらの賞は11月7日にベルリンで、MPGのStratmann会長、AvHのPape会長、BMBFのMeister副大臣により、正式に授与される。

エディンバラ大学天文学研究所の天体物理学者であるHeymans氏は、長年にわたりダークエネルギーの研究を行ってきた。宇宙のほぼ4分の3は、この謎の存在であるダークエネルギーで構成されており、宇宙がますます勢いを増しながら拡大する原因でもあると考えられている。宇宙のほぼ4分の1を構成するダークマター(暗黒物質)と異なり、ダークエネルギーの起源はまだつかみどころがない。審査員は、Heymans氏によってこの分野の研究が大きく前進したことを強調した。また、Heymans氏は「The Dark Universe」の著者であり、140件以上の科学出版物を共同執筆している。

Heymans氏は、「マックス・プランク・フンボルト研究賞により、ボン大学や他のドイツの研究機関の研究者たちとより緊密な協力ができることを期待している。」と述べた。Heymans氏は賞金を利用し、ボンのアルゲランダー天文学研究所(AlfA)で研究チームを設立する。AlfAのSchneider氏は、マックス・プランク・フンボルト研究賞の候補者に、Heymans氏を推薦した。Schneider氏は、「私たちは、これまで何年間もHeymans氏と協力し成果を上げてきた。今回の受賞を最大限活用する。」と述べた。

Heymans氏とSchneider氏は、ボン大学でドイツ重力レンズ宇宙論センターという新たな構想を発展させた。これには、ガーヒンのマックス・プランク天体物理学研究所、ミュンヘンのルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン、ハイデルベルク大学が関与している。

エディンバラ大学で物理学と天文学を学んだ後、Heymans氏はオックスフォード大学で博士号を取得した。その後、マックス・プランク天文学研究所(ハイデルベルク)、カナダ理論天体物理学研究所、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)、パリ天体物理学研究所で研究を行った。Heymans氏は2008年からエディンバラ大学に勤務、2016年に教授となった。これまでに、欧州研究会議(ERC)のERC若手助成金(ERC Starting Grant)、ERC独立移行助成金(ERC Consolidator Grant)、また英国サイエンスコミュニケーター賞など、多くの賞を受賞している。

マックス・プランク・フンボルト・メダルは以下2名に贈られる。

    • Robert Wood氏(ハーバード大学、電気工学者、ソフトロボティクス分野)
    • Sam Payne氏(テキサス大学オースティン校、数学者、トロピカル幾何学分野)

 

MPGとAvHは、ドイツ国外の研究者に対して、賞金150万ユーロのマックス・プランク・フンボルト研究賞を2018年に初めて授与することになる。また、それとは別に個人的な賞金として8万ユーロが贈られる。この賞は、傑出した未来の可能性をもつ研究者個人に焦点を当てている。革新的な国際的研究者を呼び込み、ドイツの大学や研究機関で一定期間の研究滞在を行うことに役立っている。BMBFにより資金提供を受けており、AvHとMPGにより毎年2名の研究者に贈られていたマックス・プランク研究賞に代わるものである。

マックス・プランク・フンボルト研究賞は、自然科学・工学分野、生命科学分野、人文社会科学分野から、1年ごとに受賞者を選出する予定である。加えて2名の研究者が選出され、マックス・プランク・フンボルト・メダルと賞金6万ユーロがそれぞれ贈られる。

 

AvH:

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DFGの新たな検索ポータルサイト「GERiT」:2万5千を超えるドイツの大学や研究機関に関する情報を掲載(10月29日)
「Research Explorer」から「GERiT-German Research Institutions」へ

ドイツ研究振興協会(DFG: Deutsche Forschungsgemeinschaft)によるポータルサイト「GERiT-German Research Institutions」は、2万5千を超えるドイツの大学や研究機関に関する情報を、ドイツ語および英語で掲載している。同ポータルサイトは、世界中のユーザーに対して、ドイツの研究環境を探るための効率的で柔軟な方法を提供する。GERiTは、旧ポータルサイト「Research Explorer」の後継となる。

GERiTの新しい特徴は、個々の研究機関に関する統計データ(大学の場合は、学部、研究所、学生、教授の数など)を提供していることである。併せて、多くの大学のキャリアポータルサイトへのリンクも掲載している。ドイツの高等教育に関するポータルサイト「Higher Education Compass」を提供するドイツ大学長会議(HRK: Hochschulrektorenkonferenz)と連携することで、ユーザーはその学部に博士課程があるかどうかを調べることができる。もしある場合は、Higher Education Compassへのリンクにより、博士学位取得に関するあらゆる情報にアクセスできる。また、DFGが公的資金の提供を受けた研究についての重要な統計データをまとめた「DFG Funding Atlas」へのリンクにより、各研究機関の主要研究分野の概要を知ることができる。検索結果はリスト、あるいはインタラクティブマップで表示され、さらに詳細条件で絞り込むこともできる。さらに、各研究機関の項目にはロケーションマップがあり、場所や行き方を確認することができる。

DFGは、GERiT並びに前身のResearch Explorerを通じ、研究活動における主要データセットをさらに体系化・標準化し、2016年にドイツ学術審議会(WR: Wissenschaftsrat)が公表した勧告に則したものとなるよう役立てている。研究における主要データセットを整備する目的は、データに基づいた研究報告の基準を確立することである。

GERiTは、ドイツ学術交流会(DAAD: Deutsche Akademische Austauschdienst)が提供する「research-in-germany.org」へリンクすることで、国際的な研究の場としてのドイツを宣伝するとともに、関心のある学生や研究者へ最大限のアプローチを行っている。

 

DFG:

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持続可能な社会のための研究に取り組む若手研究者たち(10月22日)
ベルリンで「グリーン・タレント」授与/Schütte氏「受賞者は、持続可能な社会のために世界的に重要な貢献をしている」

連邦教育研究省(BMBF: Bundesministeriums für Bildung und Forschung)は、グリーン・タレント・プログラムを通じて、世界中の若手研究者が、国連による持続可能な開発目標(SDGs)に向けた研究に取り組むことを奨励している。2018年のグリーン・タレント・コンペティション授賞式では、21か国から25名の若手研究者が表彰された。受賞者は、より持続可能な社会がどのようにデザインされ得るかを、様々な角度から探求している。

BMBFのSchütte事務次官は、授賞式で次のように述べた。
「気候変動の影響は、世界中で、そしてドイツでも明らかになりつつある。このことはまた、受賞者を引きつけている。例えば、水の分配、バイオエネルギー利用、代替的な経済システム等の研究により、受賞者は持続可能な社会に世界的に重要な貢献をしている。私はその献身に感謝するとともに、より多くの優れたアイデアを生み出してくれることを期待している。」

BMBFのグリーン・タレント・コンペティションは、世界中の優秀な若手研究者を対象としている。2009年以来、230名以上の受賞者を表彰してきた。受賞者はあらゆる分野から現代の重要課題に取り組み、貢献している。受賞者は、ドイツに2週間滞在し、サイエンス・フォーラムに参加する。サイエンス・フォーラムにおいて受賞者は、研究所へのガイドツアーや個々の専門家によるディスカッションを通じて、ドイツの研究環境を知ることができる。さらに、受賞翌年には受賞者自身の選択により、ドイツの研究機関で3か月間の研究滞在を行うことができる。「グリーン・タレント」となった受賞者は、彼らの母国で“持続可能な発展”の大使となり、ユニークなグローバルネットワークを形成する。

2018年グリーン・タレント受賞者は、ドイツ国内を1週間周遊する。滞在先はドレズデン、イェーナ、テッタウ、ライプツィヒ、ビッターフェルト=ヴォルフェン、ベルリンであり、10月26日(金)フランクフルトのサイエンス・フォーラムで締めくくられる。2018年は、アゼルバイジャン、ベルギー、エクアドル、コンゴ民主共和国、モーリシャス、スリランカ、ザンビア、ベラルーシの若手研究者が初めて受賞した。

 

BMBF:

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