ドイツ学術情報(過去の分)
2015年
連邦教育研究省(BMBF)が中国戦略を発表(10月28日)
2013年の中国の研究・開発費の支出は3,360億米ドルに達し、アメリカ合衆国に次いで世界で第2位の金額である。様々な学術分野において中国 でも世界水準の研究が行われており、ドイツと中国の交流が拡大している現状を背景に、このたび連邦教育研究省(BMBF)は、中国とドイツの研究・学術連 携のための中国戦略を発表した。
ドイツは、特に環境技術、エレクトロモビリティ、フォトニクス、LED照明などの主要な技術分野における連携に関心を寄せている。
BMBF:www.bmbf.de/de/partner-china-zwischen-konkurrenz-und-kooperation-1881.html
ドイツ研究振興協会(DFG)が次期審査委員会の選挙を開始(10月26日)
ドイツ研究振興協会(DFG)は、2016年から2019年の任期における審査委員会選挙を開始した。DFGの審査は、213の専門領域を代表する 全48の審査委員会で実施される。今回の選挙には、1,707人の応募者が613の枠に応募しており、うち女性応募者の割合は約29%で、前回2011年 の選挙の21%に比べ高い割合となっている。この審査委員会は4年ごとに選ばれ、DFGの補助金を受けるプロジェクトの選定や、DFGのファンディングを 改善するための提言など、重要な役割を担っている。
ドイツの学術機関に所属する研究者やポスドク約15万人が選挙権を持ち、選挙を通じてドイツの学術界の自治組織であるDFGに直接影響を及ぼすことができるという点に特徴がある。
DFG:www.dfg.de/en/service/press/press_releases/2015/press_release_no_52/index.html
選挙結果の速報(ドイツ語):www.dfg.de/en/dfg_profile/statutory_bodies/review_boards/rb-election2015/
ドイツの高等教育機関は、難民の長期的な受入にむけて取り組む(10月16日)
ドイツの高等教育機関は、国内への難民の受入に伴い、限られた予算の中で資金を調達し、難民の授業料等の免除や特別なコースの提供などに取り組んで いる。ドイツ大学長会議(HRK)は、このような高等教育機関が対応を協議する機会を提供するなど、各機関に難民支援に係るプラットフォームを提供してい る。
HRKは、難民に対しては、まず早期のキャリア形成に関するカウンセリングが重要であり、続いてドイツ語学習及び大学進学のための特別準備 コースが必要であるとしている。このドイツ語及び進学準備コースだけでも年間ひとりあたり約4,000ユーロが必要と見積もられており、今後の長期的な受 入のためには政府からの財政的支援が不可欠であると指摘している。
HRK website "Study for refugees": www.hrk.de/hrk-international/refugees/
G7科学技術大臣会合をベルリンで開催(10月9日)
6月にドイツのエルマウで開かれたG7サミットの結果を受けて、10月にG7科学技術大臣会合がベルリンで開催された。G7の科学技術大臣会合は、 平成20年に日本の発案により開催されて以来、今回が3回目の会合となり、ドイツのヴァンカ連邦教育研究大臣が議長を務めた。本会合においては、主に4つ のテーマについて、G7各国の科学技術担当大臣らが議論を交わした。
第一のテーマでは、発展途上国における伝染病など、貧困からくる疾病に関する研究を強化するとともに、情報収集や研究助成を調整することに合意した。
第二の海洋保護のテーマでは、増加する海のプラスチックゴミの管理や画期的なリサイクル技術等に関する国境を越えた学際的研究の必要性について協議するとともに、海洋エコシステムに適合した深海資源採掘の可能性に関する共同研究に合意した。
第三のテーマでは、さらに効率的で環境にやさしいクリーンなエネルギー供給の確保が必要であり、国家のエネルギー研究を進め、透明性を高めることが必要であるとの認識を共有した。
第四のテーマとして、研究インフラを世界に開放し、それにより得られたデータは研究者コミュニティーで共有できるよう標準化するべきだとした。
次回のG7科学技術大臣会合は、2016年5月に茨城県つくば市で開催される予定である。
BMBF:www.bmbf.de/de/kampf-den-infektionskrankheiten-und-der-vermuellung-der-meere-1740.html