ドイツ学術情報(過去の分)

2015年

ドイツアカデミーとドイツ研究振興協会(DFG)がゲノム編集に関する共同声明を発表(9月29日)

ドイツ国立学術アカデミー レオポルディーナ等のアカデミーとドイツ研究振興協会(DFG)は、ゲノム編集の可能性とその限界や結果について社会全体で科学的、倫理的、法的な対話を促すことを目的として、「ゲノム編集の可能性と限界」と題した共同声明を発表した。

この声明の中では、現在のゲノム編集技術の方法や開発状況、適用分野、従来の遺伝子組み換えに対する優位性等に触れるとともに、ゲノム編集が既に多 くの分野 で倫理的にも法的にも受け入れられていることが述べられている。一方で、ヒトの遺伝子に影響を及ぼす生殖細胞のゲノム編集は禁止すべきであり、ドイツにお いては関連の研究は厳しい法律の規制対象となっていることにも言及している。しかしながら、ゲノム編集技術研究や応用開発を過度に制限するものであっては ならず、ドイツは引き続きゲノム編集に関する研究を推進し、その安全で責任ある適用に向けて支援を続けるべきである、としている。

共同声明「ゲノム編集の可能性と限界」(ドイツ語及び英語、PDF):www.dfg.de/download/pdf/dfg_im_profil/reden_stellungnahmen/2015/stellungnahme_genome_editing_2015.pdf

DFG:http://www.dfg.de/en/service/press/press_releases/2015/press_release_no_49/index.html
 

エラスムス・プラスに関する年次総会を開催(9月25日)

9月28日、連邦教育研究省(BMBF)、欧州委員会及びドイツ学術交流会(DAAD)はエラスムス・プラスの年次総会をベルリンで開催する。

エラスムス・プラスにおける重要課題である、外国で取得した単位の認定、雇用される能力(Employability)、共同教育プログラムの質の保証、エラスムス・プラスプロジェクト拡大に向けた戦略、東ヨーロッパ諸国のパートナーとの連携等について議論する。

DAAD:www.daad.de/presse/pressemitteilungen/de/37560-erasmus-in-deutschland-perspektiven-fuer-deutsche-hochschulen/
 

ドイツの大学における外国人学生数が32万人に到達(9月24日)

連邦統計庁によると、2014-15年冬学期の外国人学生数は前年比約7%増加し、約32万人となった。国籍は、トルコ、中国、ロシア、イタリア、 インド出身者が多数を占めている。特に、中国人学生は2013-14年冬学期から2014-15年冬学期にかけて6%増加し、約32,500人に上った。

また、ドイツの大学を卒業する外国人学生数も6%増加し、41,000人から43,000人に増加した。ドイツの大学卒業者の10人に1人が外国人であり、内訳は中国(5,513人)、トルコ(3,317人)、ロシア(2,433人)の順となっている。

DAAD:www.daad.de/presse/pressemitteilungen/de/37494-deutschland-fuer-auslaendische-studierende-weiterhin-attraktiver-hochschulstandort/
 

エネルギー転換のための研究「コペルニクス・プロジェクト」がスタート(9月17日)

連邦教育研究省(BMBF)は、エネルギー転換のための過去最大規模の研究イニシアティブを開始した。このエネルギー転換のための「コペルニクス・ プロジェクト」は、学術界、産業界及び利用者が共同で新たなエネルギーシステムやコンセプトを開発し、実現を目指すものである。プロジェクトには4つの大 きなテーマがあり、①水素等へのエネルギー源転換による余剰再生可能エネルギーの貯蔵、②高比率の再生可能エネルギーに適応した電力網の開発、③変動する エネルギー供給に対応する産業プロセスの構築、④持続的にエネルギーを確保するため、再生可能エネルギーと従来のエネルギーの双方を利用することである。 BMBFは2018年までに1億2,000万ユーロ、2025年までに更に2億8,000万ユーロを助成する予定である。

このコペルニクス・プロ ジェクトは、連邦政府の第6次エネルギー研究プログラム「環境に優しく、確実かつ費用負担可能なエネルギー供給のための研究」(Forschung für eine umweltschonende, zuverlässige und bezahlbare Energieversorgung)の一部である。

BMBF:www.bmbf.de/presse/forschungsinitiative-zur-energiewende-startet-1364.html
 

ドイツは招へい研究者同窓会活動において世界で主導的な役割を担う(9月17日)

ドイツの大学及び研究機関は、連邦教育研究省の財政的支援のもと、ドイツでの研究滞在の後に自国へ帰国した研究者との継続的交流に注力している。こ のような、招へい研究者としてドイツに滞在した経験のある研究者は、ドイツの大学及び研究機関の国際化のために発揮できる潜在能力が大きいと目されてい る。

世界的に見ても、多くの大学や研究機関は、自機関の卒業生を同窓会活動の主なターゲットにしており、このように招へい研究者に焦点を当てた助成は世界的に見ても先進的で、前代未聞のアプローチである。

フンボルト財団(AvH)により刊行された以下の記事においては、当該活動の5年間の成果がまとめられている。

www.humboldt-foundation.de/web/forscheralumni-broschuere.html(ドイツ語、PDF)
www.humboldt-foundation.de/web/research-alumni-brochure.html(英語、PDF)

AvH:www.humboldt-foundation.de/web/press-release-2015-19.html