ドイツ学術情報(過去の分)
2016年
連邦教育研究省が2億4,000万ユーロを投資する医療技術専門プログラムを発表(5月31日)
連邦教育研究省(BMBF)は、本日新しい医療技術専門プログラム「医療技術専門プログラム」を発表した。最新の医療やオーダーメイド医療に対する期待が増大している高齢化社会における課題に対処しようとするプログラムである。
当該プログラムは、医療技術分野でのBMBF助成のパラダイムシフトを裏付ける重要なマイルストーンとして位置付けられる。今後、医療機器の開発過程にお いて、開発対象の製品が実際の医療に適用できることがあらかじめ求められるようになる。さらにBMBFは、企業がその研究をさらに患者のニーズに合わせら れるように、企業に対し治療に関する知識を提供するよう支援する予定である。
これは、科学技術・保健・経済政策の三つをまたぐイノベーション政策の基盤を作ることを目標とした戦略プロセス「医療技術におけるイノベーション」の成果でもある。BMBFは、今後5年で2億4,000万ユーロを当該プログラムへ投資する見込みである。
BMBF: https://www.bmbf.de/de/patientenversorgung-verbessern-innovationskraft-staerken-2929.html
ドイツ学術交流会(DAAD)が学術交流について前向きに総括(5月31日)
2015年、ドイツ学術交流会(DAAD)は7万5,412人のドイツ人および5万1,627人の外国人の学生あるいは研究者に対して海外への滞在 を支援した。この数字は2014年に対して合計5%の上昇を示している。支援プログラムの対象は、短期留学から博士課程、インターンシップから客員教員、 情報交換のための訪問から外国での課程の設置やドイツの大学の設立までなど、多岐にわたっている。
2015年、ドイツの大学に学籍登録を行った外国人学生が32万1,569人にのぼったことを受け、ドイツは世界で最も人気のある留学先5ヶ国のひ とつに数えられることとなった。特に申請者数が多かったのはロシア、アメリカ、ウクライナからであり、また、発展途上国に関するマスタープログラムにも多 くの申請数を記録した。一方、DAADに申請するドイツ人にとって最も人気のある行先は、西ヨーロッパと北アメリカである。
流動性を促進する柱となっているものは、DAADが対応機関となっているエラスムス・プラス(Erasmus+)というプログラムである。エラスム ス・プラスでは、1~2セメスターの留学がより柔軟になり、学士、修士および博士課程という全課程においてさらに多くの海外への滞在が可能となっている。 また、ヨーロッパ外との交流も可能となり、2015年は計4万2,000人の学生、大学職員および教員がヨーロッパ各国で支援を受けた。
上昇し続けるドイツ全国奨学金プログラムによる奨学生数(5月30日)
2015年、全国奨学金プログラムにより2万4,300人が支援を受け、これにより昨年度に対して8%多い大学生が支援されたことが、5月30日に 連邦統計庁が発表した最新データから明らかになった。2011年夏学期に初めて奨学生を受け入れてから5年、大学は支援金の調達と支給のための効果的な組 織を築き、2015年には約7,000の民間支援者により2,530万ユーロが調達されたことにより、全国奨学金プログラムは才能の育成において定着した といえるだろう。
全国奨学金プログラムでは、学生は収入にかかわらず月に300ユーロ支給され、その半分を企業や財団、個人等の民間が、残りの半分を連邦政府が負担する内 訳となっている。近年、連邦教育研究省(BMBF)は、優れた若者に対する支援を拡大しており、2015年は合計5万6,000人以上の学生が連邦政府資 金からの奨学金の支援を受けている(元記事のグラフ参照)。
ドイツ研究振興協会(DFG)が新たに20の特別研究領域プログラム(SFB)を支援(5月27日)
ドイツ研究振興協会(DFG)は特別研究領域プログラム承認委員会の決議により、20の新しい特別研究領域プログラム(SFB)を設立し、1億 7,400万ユーロを助成することを決定した。これに助成合計額の22%が間接経費として措置される見込みである。新たな20のうちの6つのSFBは、地 域越境的SFBであり、複数の研究所にわたることとなる。
すべての新しいSFBは2016年7月1日より開始され、まず最初の4年半の期間支援を受ける予定である。また特別研究領域プログラム承認委員会は 24の既存のSFBをさらに延長することを決定した。この結果、2016年7月からDFGの支援を受けるSFBは合計264にのぼることとなる。
新しいSFBの詳細は、リンク元の記事参照。
DFG: http://www.dfg.de/en/service/press/press_releases/2016/press_release_no_20/index.html
ドイツ研究振興協会(DFG)は新たに18のGraduiertenkollegの設立を決定(5月23日)
ドイツ研究振興協会(DFG)のGraduiertenkolleg承認委員会はさらなるドイツの若手研究者の支援に向けて新たに18の Graduiertenkolleg (GRK:大学院博士課程特別コース)(※)の設立を決定した。それらにはイタリアと韓国との新しい2つのInternationale Graduiertenkollegs(IGK)が含まれている。Graduiertenkolleg承認委員会は、また、14のGRKの4年半の延長を 承認した。
GRKには4年半の助成期間の初期に約7,400万ユーロが投資されることとなる。 DFGは現在194のGRKを支援しており、その中には40のIGKが含まれている。新しいGRKは、ベルリン自由大学、フンボルト大学、ベルリン工科大 学、ビーレフェルト大学、ボーフム大学、ブラウンシュバイク大学、ブレーメン大学、ダルムシュタット工科大学、デュッセルドルフ大学、フランクフルト大 学、フライブルク大学、ハノーファー大学、カールスルーエ工科大学、マールブルク大学、ミュンヘン大学、レーゲンスブルク大学、シュトゥットガルト大学、 ウルム大学に設置される予定である。
※Graduiertenkolleg(ドイツ語)、Research Training Group(英語) 若手研究者育成のため、各大学によって設立される大学院博士課程特別コース。大学院共同コロキウムと訳すこともある。DFGにより採択された大学は最長9 年間、DFGから資金提供を受ける。本事業は、テーマを定めた研究プログラム及び体系的な人材育成の方針に基づく博士学位取得に重点が置かれ、学際的な取 組みを行うグループを支援することにより、複雑化した研究者雇用市場に対応した博士研究者を育成し、研究者としての早期自立を促進することを目的とする。
DFG: http://www.dfg.de/en/service/press/press_releases/2016/press_release_no_18/index.html
若手研究者協定とイノベーティブ大学プログラムについてドイツ大学長会議(HRK)会長がコメント(5月20日)
本日の共同学術会議(GWK)の「若手研究者協定」および「イノベーティブ大学」の決議に対し、ドイツ大学長会議(HRK)のヒップラー会長が以下 のとおり述べた。 「イノベーティブ大学プログラムについては、大学が構造的な資金不足に悩んでいることを鑑みれば、年間5,500万ユーロは少額とはいえそれでも明らかな 効果をもたらすだろう。 一方で、若手研究者協定については、1,000人のテニュアトラック教授の採用が望まれていたにも関わらず、現在の拠出予定金額ではその数のポストを十分 にまかなうことはできない。総額10億ユーロ、テニュアトラック教授(W1/W2クラス)一人につき6年から8年の助成期間、これに加えて15%の戦略的 交付金では、必要経費を大きく下回ることはあらかじめ明らかで、中身のともなった研究活動は不可能である。これでは優秀な研究者を獲得するにあたって、国 内外の競争で断念せざるを得ず、あるいは大学側が不足分を負担しなければならないおそれがある。
それ以外にも、多くの大学では教授のポストを増やすよりも、どちらかといえば教授ポストと同程度に有望なキャリアパスとなる教授以外のポストのほう が必要とされている。一方、大学は若手研究者のためのキャリア支援要綱において提示した人材開発構想は、正しく前進しているといえる」
ヴァンカ連邦研究教育相がG7科学技術大臣会合のために日本へ出発(5月13日)
G7科学技術大臣会合は、貧困に起因する感染症(PRDs)や顧みられない熱帯病(NTDs)、海洋の未来、革新的エネルギーの技術開発等といった 地球規模課題に取り組むため、研究協力を強化している。5月15日から17日にかけて日本のつくば市で開かれる今回の会合では、2015年10月にベルリ ンで開催された前回のG7科学技術大臣会合でのトピックについて、引き続き議論が行われる予定である。
2015年の会合後、提言を受けて、PRDsにかかる研究活動と国別データの共有は、主に感染症を中心に進められてきた。海洋研究においても、国際協力の ための新たな枠組みが進められ、海洋システムにおけるマイクロプラスチックを探査する国際プロジェクトも“Healthy and Productive Seas and Oceans”という欧州委員会の共同プログラミングイニシアティブ(JPI)の下で着手されてきた。このプロジェクトでは、マイクロプラスチックの測 定、海洋エコシステムにおけるマイクロプラスチックの分布のマッピング、そして海洋生物へのプラスチックの潜在的な毒性効果の調査のための発展的基準が定 められた。クリーン・エネルギーについては、ベルリンでの2015年のG7科学技術大臣会合における決定に基づいて、クリーン・エネルギー関連の研究開発 強化に係る国際イニシアティブ「ミッション・イノベーション」が2015年11月のパリでのCOP21にて立ち上げられた。このイニシアティブには多くの 他の国々が参加している。G7科学技術大臣会合はクリーン・エネルギーに対する責任を再度表明し、このイニシアティブの活発な推進にともに取り組んでい る。
今年のアジェンダで取り上げられる新しいトピックとしては、高齢化と高齢者ケアに関する研究イノベーションの促進、科学技術イノベーション分野における女 性の参画の拡大、次世代の研究者の人材育成支援の提供や、どのようにしてインクルーシブ・イノベーションの理念を確実にするか、すなわち、研究イノベー ションがどのようにして産業国や全世界におけるすべての人々に対して利益になるか、といったことがあげられる。
つくばでの会合において、研究協力を進めるため、科学技術大臣らはさらなる努力を期待している。連邦教育研究省(BMBF)のヴァンカ大臣は、「昨年の G7科学技術大臣会合でよい連携を持てたことから、今年の会合でも引き続き2015年の課題を取り上げることとなった。昨年の協力の成果であるPRDsや 海洋の未来、クリーン・エネルギーに関する問題について、さらに具体的な議論に踏み込んで合意を得ることができるだろう。一過性のものとしないためにも喜 ばしいことである」と述べた。
ヴァンカ大臣は日本とドイツの二国間協力がどのようにG7の目標を果たす手助けをすることができるか、日本側と議論する予定である。両国とも、科学協力の 長い伝統に卓越している研究国家であるため、それを行う強い立場にある。適切な事例でいうと、ドイツ人研究者による高エネルギー加速器研究機構(KEK) の共同利用があげられる。現在、600以上のドイツと日本の大学の共同研究が存在しており、ドイツの研究組織は日本側パートナーと密接な関係にあるといえ るだろう。たとえば、マックスプランク研究所は、日本の最も大規模で総合的な研究施設である理研と30年以上協力してきている。
ヴァンカ大臣は、ボッシュ、BMW、ダイムラー、BASFといったドイツの研究を主導する企業の日本支社の代表とも会談する予定である。日本との科 学技術協力における企業の展望を知ることを狙いとしており、高齢化社会によって引き起こされる研究イノベーションが直面する課題や、自動運転技術等の研究 について議論するとされている。
BMBF: http://www.bmbf.de/de/bundesforschungsministerin-wanka-reist-nach-japan-2857.html
新しい枠組みが求められる大学医学部のあり方(5月13日)
ドイツ大学長会議(HRK)は、大学および大学病院の継続的な資金不足の影響を危惧する決議を行い、若い医師にとって学術的なキャリアの魅力が十分 でないことを指摘した。また同時に、大学、学部、大学病院が責任共同体としてどのように機能できるかということについても示した。
大学医学部の役割は多角的である。医療研究の核心を成し、若い学術世代を教育し資格を付与する責任を負っている一方、ドイツの医療サービスの中心であり、革新的な治療を実施している。
しかし、大学病院の財政状況はここ数年急激に悪化している。「現在の患者治療に関する包括報酬制度では、大学病院の特別の機能と費用が考慮されていない。そのため大部分の大学病院で、顕著な赤字になっている」とヴェーバー副会長は述べている。
HRKのヒップラー会長は、「このために、ここ数年、教育と研究が慢性的に犠牲となっている。また大学への支出の停滞も著しく、近代的な医学研究を行うには、多くの建物の老朽化が進んでいる」と述べた。
ホルスト・ヒップラー氏に対し、ストラスブール大学の名誉博士授与へ(5月11日)
ドイツ大学長会議(HRK)のヒップラー議長に対し、5月11日ストラスブール大学より名誉博士が授与された。ストラスブール大学のベレッツ学長は授与に際し、ヒップラー議長の欧州に対する仕事を特に評価した。
その一つが、ヒップラー議長が、ライン川上流域の大学間の協力関係の発展について長年にわたって寄与してきたことにある。バーゼル大学、フライブルク大 学、オート・アルザス大学、ストラスブール大学そしてヒップラー氏がHRK議長になるまで学長を務めていたカールスルーエ工科大学は、1980年代の終わ りよりライン川上流域ヨーロッパ大学連合(Eucor)として提携しており、昨年の終わりには、連合の機能強化を目的として、ヨーロッパキャンパスを設 立、5月11日に開設のレセプションが催された。
また同氏はHRK議長としても、欧州での協力関係や研究環境においてドイツの高等教育機関の強固な地位のために尽力した。
ストラスブール大学は欧州の評価の高い高等教育機関の一つであり、1970年代の3つの大学への分離を経て、ルイ・パストゥール大学、マルク・ブロック大学、ロベール・シューマン大学ならびに教員教育大学センター(IUFM)が統合して2009年に誕生した。
※Eucorヨーロッパキャンパス: 2015年12月、バーゼル大学、フライブルク大学、オート・アルザス大学、ストラスブール大学、カールスルーエ工科大学により設立、2016年より3年 間EUのINTERREGプログラムの支援を受ける予定。ヨーロッパキャンパス設立により、各大学の自治は保持したまま、ドイツ、フランス、スイスそして ヨーロッパにおいて助成金申請書を送付することが可能となる。また、デュアルディグリーや共同研究、研究機器の共有が実現され、若手研究者や留学生を引き 寄せるよう働くことが見込まれる。
Eucorヨーロッパキャンパス開設――ドイツ・フランス・スイスの5大学が国境を越えた大学の創設に向けて前進(5月11日)
バーゼル大学、フライブルク大学、オート・アルザス大学、ストラスブール大学ならびにカールスルーエ工科大学は、ライン川上流域ヨーロッパ大学連合 (Eucor)のヨーロッパキャンパスの開所式を5月11日ストラスブール大学パレにおいて執り行った。これにより、ヨーロッパキャンパスは単体として活 動することができるようになり、初のヨーロッパ大学の創設に向けて大きな一歩を踏み出した。初の理事長にはフライブルク大学のシーヴァー大長が選出され3 年間の任期を務める。
ヨーロッパキャンパスは、大学だけで組織および運営される最初の欧州領域団体(EGTC)であり、5つの大学はそれぞれの自治性を保持したまま、一 方で一つの法人格として今後活動することができる。これにより、ライン川上流域において共通の研究・教育戦略を発展させ、国境を越えた研究組織の創設が可 能となる。
Eucor: http://www.eucor-uni.org/en/2016/05/11/thinking-knows-no-boundaries
研究開発に従事する研究者数が過去最高を記録(5月11日)
5月11日に連邦内閣が閣議決定した「研究とイノベーション報告書2016」(Bundesbericht Forschung und Innovation 2016)において、研究開発に関するポストの数は2005年から2014年の間に約30%増加し、ドイツにおいて研究開発に携わる人の数が初めて60万 人を超えたことが報告された。これによりドイツの研究開発費は過去最高となった。
ドイツでは、国・産業界・学術界が研究開発に投資する額が、ここ数年連続して伸びている。2014年には過去最高となり、投資額が840億ユーロにのぼった。そのうちの570億ユーロ、つまり3分の2以上は産業界からの支出によるものである。
また、連邦政府も研究開発には優先的に資金を拠出しており、2014年は142億ユーロに達した。2005年と比較すると、60%増の90億ユーロの増額である。2016年の研究開発費の予算案は、過去最高の158億ユーロに達する。
欧州連合(EU)においては、全研究開発費の30%をドイツが負担している。10の卓越したイノベーション企業のうち、5社がドイツ企業であることから、 ドイツはEUにおける研究開発の重要国であり、また世界的にもイノベーション先進国に入るといえるだろう。これらのことは、ドイツで出版された学術論文の 17%弱が国際的に最も引用数の高い論文の中に入り、この比率が最高値を更新したことからも分かる。
一方、集中的に研究開発を行った製品の輸出が増加し、アメリカに次いで第二位の位置についているが(第三位は中国)、世界的な競争の圧力は強まっている。 たとえば、日本においては世界市場における人口100万人あたりの重要特許数の比率は過去10年で上昇した結果52%を記録しており、最近ではドイツの比 率をやや上回っているが、これに対してドイツでは9%の増加にとどまっている。依然として高い水準にあるとはいえ、ドイツの強い競争力を国際市場において 長期的に維持するためには、未来のトレンド、そして新しい課題への挑戦は欠かせない。
BMBF: https://www.bmbf.de/de/nie-gab-es-mehr-jobs-in-forschung-und-entwicklung-2847.html
ドイツ大学長会議はエクセレンス・イニシアティブの継続のために正しい政策決定や手続き方法の変革を要求(5月11日)
ドイツ大学長会議(HRK)は4月22日に発表された共同学術会議(GWK)のエクセレンス・イニシアティブ継続に関するコンセプトがエクセレンス クラスターの推進に集中すること、また、首尾一貫して学術的な審査方法とすることを肯定的に評価している。優れたエクセレンスクラスターの申請により、大 学への助成を集めるだけでなく、それにより大学全体を強化する可能性についても明確にした。
HRKはこれまでに明らかにされたトップレベルの研究をさらに推進させる計画に対して、特にエリート大学に関する採択要件とそのスケジューリングに 関して批判を行ってきた。少なくとも2つのエクセレンスクラスターが採択されることをエリート大学への採択要件に結びつけることは、多様であるドイツの大 学の状況に適合するものではなく、小規模の大学にとっては不利な要件である。将来的に小規模のエクセレンスクラスターも支援されたとしても、解決されるも のではないだろう。いずれにせよ、約50とされる支援を受けるクラスター数の柔軟化が必要である。
HRKの会員総会では、エクセレンスクラスターの採択等に関する規定の明確化も要求された。不正を避けるための透明性の確立が求められる。
ドイツ大学長会議が理事会メンバーを選出(5月10日)
ベルリンで開催されたドイツ大学長会議(HRK)の総会において、8月からの新たな理事会のメンバーが選出された。 ベルリン・ボイト工科大学のグロース学長が新たに理事として2年の任期で着任する。同氏は2015年の3月よりHRK常任委員会のメンバーを務めている。 また、グライフスヴァルト大学のヴェーバー学長、コンスタンツ大学のリュディガー学長の2年間の再任も決定された。
理事会においては、総会にて選出される5名の理事のほか、大学および専門大学のメンバーグループから選ばれる2名の代表者が理事として着任すること となっており、こちらはすでにデュースブルク=エッセン大学のラトケ学長、フルダ大学のカクザール学長が選出されている。 現在、情報インフラ分野担当理事であるバートラム教授は、7月末でもって理事を退任する予定である。
HRK: https://www.hrk.de/press/press-releases/press-release/meldung/hrk-executive-board-elections-3953/
ドイツの大学が最も国際化されているとの調査結果(5月6日)
ブリティッシュ・カウンシルによる26ヶ国の大学の国際化に関する調査「国際高等教育のかたち」(The Shape of Global Higher Education)の結果、ドイツの大学が首位に立っていることが報告された。この調査は、高等教育システムの国際化に関する基本的枠組みを比較したも ので、大学の流動性を高めるために国際化に対する政府レベルの取組みに関した「開放性」、国際的な流動性を支える制度設計としての「質保証と認証」、「高 等教育システムと持続性への道」という3つの基準グループにおいて、37の質的な指標を手掛かりに26カ国を比較・調査している。
ドイツは、国際化戦略、高等教育の構造、大学の質保証および流動性措置ならびに助成措置について、特にバランスがとれ、相互に関連し合っていること がアメリカやイギリスより際立っているとされている。また、外国人留学生のための手厚い基本的枠組みについて強調されており、たとえば、外国人留学生のた めの大学入学やその後のサポートに限らず、就職にまで及んでおり、ドイツでは外国人留学生は大学卒業後自分に合った職を見つけるために18ヶ月間滞在許可 を延長することができることなどがあげられる。
スター外国人研究者をドイツへ呼び寄せるアレクサンダー・フォン・フンボルト講座(5月3日)
フンボルト財団(AvH)のアレクサンダー・フォン・フンボルト講座の特別式典が開催され、女性3人、男性3人の合計6人の海外トップ研究者に当該 講座が授与された。受賞者は大学から推薦されており、それぞれビーレフェルト大学、ボン大学、ハレ大学およびヘルムホルツ環境研究センターライプツィヒ、 カールスルーエ工科大学、ミュンヘン大学およびミュンスター大学で研究を開始する。受賞者には、実験を行う研究分野には500万ユーロ、理論研究を行う分 野には350万ユーロが支給される。
AvHのシュヴァルツ理事長は、当該講座はドイツで研究を行うことの魅力を優秀な外国人研究者に提示していると述べたうえで、その理由を「新たな外 部資金への申請書を書き続けることなく完全に研究に集中できる環境を提供するものであり、この環境こそがこの賞を国際的に魅力あるものにしている」と述べ た。
また、連邦教育研究省(BMBF)のクヴェネット=ティーレン事務次官は、当該講座がドイツに世界のトップ研究者を呼び寄せることに成功したと述べ、さら に大学にとっても理想的な国際化戦略の要因であり、かつ、各大学において新しい研究分野を発展させ、認知度を上げることを可能にした、と評価している。
AvHは当該講座によって毎年10人を上限に、外国で国際的に活躍しているあらゆる分野の研究者を表彰している。審査においては、候補者の優れた学術研究 成果のみならず、大学側が候補者とその研究チームに対して提供する長期的な展望に関するコンセプトも重要な観点となっている。また、この講座はBMBFか らの助成を受けるものである。研究とイノベーションはこれらの輝かしい判断の恩恵を受けるだろう、と加えた。
AvH: https://www.humboldt-foundation.de/web/press-release-2016-07.html