ドイツ学術情報(過去の分)

ひとまとめにした革新(4月19日)

もし、それぞれ異なる強みや経験を持つ、大学、企業、研究機関もしくは他の機関が一つのテーマに関して協働したらどうなるだろうか。協働すればそこでイノヴェーションが起きる。ドイツではここ数年、上記のような形で提携するケースが非常に増えてきているのだが、それは、とりわけ連邦政府からの助成により促進されてきたものである。そのような背景のもと、4月末に、「ドイツ・クラスターウィーク」が開催される。連邦経済エネルギー省(BMWi)及び、連邦教育研究省(BMBF)主催のもと、4月20日から28日まで、ドイツのクラスター界がドイツ全土で催し物を行う。全体で、150以上のワークショップ、展示会、一般公開が行われ、専門会議やプレゼンテーションも行われる。

「it's OWL – ウェストファーレンリッペ東地区における知識技術化制度(Intelligente Technische Systeme OstWestfalenLippe)」という先端クラスターにより2012年以降、170以上の中小企業がこの地方に移転し、34の企業が創設された。

174の企業、大学、研究機関はウエストファーレン・リッペ東地区のこのクラスターに組み込まれたのだが、それは協働することでメカトロニックからスマート技術システムへと大きく飛躍するためである。

BMBF: https://www.bmbf.de/de/wissenschaftliche-karrieren-werden-immer-attraktiver-3883.html
 

早期の著作権改革の必要性(4月7日)

ドイツ学術機関連盟は、著作権改革の現在の草案を強く歓迎し、迅速な議会での採決を支持する。現代の知識社会は、教育と研究のための現代に即した利用を可能とし、同時に著者たちへの相応な報酬を確保するという未来志向の著作権を必要とする。学術領域における著作権に関する今までの法的な不安定さは、学術分野における自由な知識の交換を妨げ、結局は教育と研究拠点としてのドイツにとって負担となる。

連盟の見地から言えば、新しい規定は複雑なものではなく、法的に安定しており、利用者にわかりやすく整えられていることが求められる。改革草案はそれを保証する。著作権で保護された作品について、複数回の使用を含めてすべて込みの金額で著作者に対して報酬を支払い、その後許可を逐一取らずに使用するという方法を連盟は唯一の現実的な解決策であると考えている。学術関連の教科書についてもこの改革草案がカバーするなかに含まれていることは適切であり、歓迎される。出版業界の利益を損なわないようなバランスのとれた著作権法が求められる。

現在の草案には、学術分野の興味と著作権保持者の利益の両方を満足させる解決策が盛り込まれている。連盟は、今期の議会で議決されるように、改革案を近く議会へ提出する予定の連立政党を強力に支援する。

DFG: https://www.bmbf.de/de/wissenschaftliche-karrieren-werden-immer-attraktiver-3883.html
 

ドイツ学術機関連盟「科学のための行進」に対する支持を表明(4月6日)

ドイツ学術機関連盟は「科学のための行進」を歓迎し、支持を表明した。アメリカに始まり、ドイツの多くの都市だけでなく世界中の至るところで4月22日にこの行進は行われる予定である。この行進は科学の自由を力強く明確に支持するものであり、多くの国や社会、もちろんEU圏内でも起きている科学の自由に対する抑圧に抗議するものである。

政策決定者による反民主主義、反科学の動きは科学の成果や価値、そしてそれに関わるすべての人々を脅かしている。この動きは社会が科学から得られる利益を制限し、開かれた社会制度や基本的な生き方と同様に、リベラルな立憲制度の基本原則をそれと同時に侵害している。

ドイツは国際的で多元的な学術システムを持ち、その結果として特に効果的な学術システムとなっている。研究の自由と教育の自由は憲法において明記され、幅広いレベルで社会的にも政治的にも支えられている。このような特別な状況にある以上、科学とその自由に対するありとあらゆる脅しに対してはっきりと反対の立場をとる義務が生じるのである。

フンボルト財団(AvH)、ドイツ研究振興協会(DFG)、ドイツ大学長会議(HRK)、ライプニッツ学術連合、ドイツ国立学術アカデミーレオポルディーナ、ドイツ学術交流会(DAAD)、ホルムヘルツ研究センター、マックスプランク協会の共同声明。

AvH: https://www.bmbf.de/de/wissenschaftliche-karrieren-werden-immer-attraktiver-3883.html
 

エクセレンス戦略:エクセレンス・クラスターとして195の申請が提出される(4月5日)

「連邦と諸州のエクセレンス戦略」では、新エクセレンス・クラスターの一次選考が始まる。第一次ドラフト提出期限終了後に、ドイツの大学においてどれくらいのプロジェクトがエクセレンス・クラスター助成プロセスで最終選考に臨めるかが確定する。

2017年4月3日までに195のエクセレンス・クラスターの第一次ドラフトがドイツ研究振興協会(DFG)に提出された。DFGは、連邦と諸州間で締結された行政合意に沿ってエクセレンス・クラスターの助成プロセスでの審査を実施する。2016年12月に大学が意向表明をした時よりも3件のドラフトが増えており、16の全州から合計63大学が1件あるいは複数のドラフトで一次選考に参加している。

195件のドラフトのうち47件は複数の大学連合の形で提出され、そのうち6件のドラフトは3大学共同でなされている。ドラフトの三分の二は大学以外のパートナーの参加を予定している。コンセプトの大多数は学際的なものとなっていて、申請のテーマを分類すると、27%が自然科学分野、25%が人文社会科学分野、24%が工学分野、24%が生命科学分野である。

2019年1月1日に助成が開始される予定である。行政合意に見積もられている45から50のエクセレンス・クラスターのために、年間3億8500万ユーロの支援が予定されている。エクセレンス・クラスターに関する判定は、同時にドイツ学術審議会が行うエクセレンス大学の第二助成プロセス審査における重要な要件の一つになる。つまり、エクセレンス・クラスターの数が十分な大学が2018年12月にエリート大学の申請書を提出できるのである。エリート大学については、審査の後2019年夏に判定が下される。

結果については、エクセレンス大学助成プロセスを主導するドイツ学術審議会とDFGが、審査終了後に議決し、各大学に通知する。

DFG: https://www.bmbf.de/de/wissenschaftliche-karrieren-werden-immer-attraktiver-3883.html
 

連邦教育省がデジタルの才能促進を拡大(4月3日)

プログラミングが大好きな生徒のために、5月に新しいコンテストが開かれる。それは、新企画の「青少年プログラミングコンテスト」であり、連邦教育省(BMBF)が助成する。

上記コンテストは、アルゴリズム的思考、及び、プログラミングで自分の力を試したいと考えている全学年の生徒を対象としている。

このコンテストのサイトには、小さな子供や青少年のために、さまざまな情報学の学習講座が設けられており、通常はオンライン講座で、無料である。このオンライン講座にはcode.orgのような情報学の基礎講座から「CS Circles」という名のプログラミングコースまである。

BMBFはさまざまな子供・青少年コンテストを助成している。「青少年研究コンテスト」、「ドイツ全国外国語コンテスト」、「青少年小説コンテスト」、「青少年作曲コンテスト」、または「青少年起業ビジネスプランコンテスト」などである。BMBFは上記の新しいコンテストも含めて数々のドイツ全国情報学コンテスト(BWINF)を助成しているが、毎年、1800以上の学校から30万人以上の小さな子供と青少年らが参加する。BWINFの事業は多くの研究機関、ドイツ情報学協会、フラウエンホーファーIUK情報通信研究所、そして、マックス・プランク情報学研究所から支援を受けている。この新企画の「青少年プログラミングコンテスト」により、これまでの情報学のコンテストの穴が埋められたことになる。「情報学ビーバー」は、2016年だけでも29万人以上の生徒が参加した企画であり、それは、10年以上も前から情報学におけるデジタル思考の魅力を伝えているが、予備知識を必要としない。それに対して、「ドイツ全国情報学コンテスト」は、1980年以降、情報学のさまざまな課題に対してプログラミングを駆使して取り組むため専門的な知識を必要とする。新企画の青少年プログラミングコンテストは、「情報学ビーバー」と、「ドイツ全国情報学コンテスト」の間に位置している。このコンテストは、小さな子供や青少年に、「情報学ビーバー」で示した情報学への関心をさらに追求し、そして、自分の才能を伸ばし、できれば後に「ドイツ全国情報学コンテスト」に意欲を持ってもらうよう促すことである。

この新しいコンテストのスタートは2017年5月15日である。「青少年情報学コンテスト」の第一次選抜では、オンラインプラットフォームを通してロボット操作をしたりバーチャルな亀の動作をプログラミングしたりというものになる予定である。

BMBF: https://www.bmbf.de/de/wissenschaftliche-karrieren-werden-immer-attraktiver-3883.html