ドイツ学術情報(過去の分)

連邦議会選挙を控えて:ドイツ大学長会議(HRK)が政党にインタビュー(8月24日)

ドイツ大学長会議(HRK)は、次回の連邦議会において議席を持つ可能性が高い政党を対象に、連邦議会選挙における、高等教育政策についての試金石となる10の質問をし、その回答をホームページ上で公開している。

高等教育政策における連邦政府の将来的な役割に対して、HRKは昨年の10月に「学術と社会における中心としての高等教育機関」という報告書の中で期待値を設定し、今年の春には「2つの柱+(プラス)」という、2020年以降の高等教育機関のための具体的な資金計画を提案してきた。

HRKのヒップラー会長は各政党からの回答について以下のように述べる。「HRKのコンセプトに沿って、各政党からの回答を比較すると、多くの点で失望させられるものであった。連邦議会選挙後でも、高等教育機関のためにこれまで続けられてきた、充分で確実な支援が、継続されない可能性が高いと考えられる。というのは、大学の資金調達に対する回答が、多くの点であいまいであり、各大学の基本的な資金調達に関して連邦政府による支援は行われないからだ。この点について、私は憤慨している。大学以外の研究機関がここ数年、継続的に重要な利益を得ている一方で、大学の励みになるような、連邦政府による支援策はない。私が特に危惧していることは、学術のデジタルインフラの拡張に関する各政党の構想の乏しさだ。しかしながら、デジタルインフラの拡張は、優先的に国家全体で取り組むべき課題であり、連邦政府が責任を負うべきものである。インフラの拡張は、大学キャンパス運営など、大学にとっての重要なシステムや、資料や出版物に関するアーカイブ、研究データの管理などに関わる。また、デジタルインフラの整備は、大学のデータ、情報セキュリティー、情報リテラシーの強化に関わる。」と述べた。

HRK: https://www.hrk.de/presse/pressemitteilungen/pressemitteilung/meldung/heute-in-einem-monat-ist-bundestagswahl-hrk-befragt-die-parteien-4203/
 

北アメリカで働くドイツ人若手研究者に対してプロモーション(8月15日)

米国とカナダで働いている若手研究者は、ドイツの学術システムにより、魅力的なキャリア形成につながる機会を提供される。第17回ドイツ研究者国際ネットワーク(GAIN)の年次総会が2017年8月25日から27日にかけて、サンフランシスコで開催される。この総会には、あらゆる学問分野から300人以上の研究者が参加し、参加者たちは、ドイツの学界、政界、産業界を代表する約150人と、今後のキャリア形成に関わるネットワークを築く機会を持つ。GAINの年次総会は、ドイツで学術キャリアをもつ研究者にとって、ヨーロッパ以外で開催される最も大きなイベントである。

2017年の総会は、特に、エクセレンス戦略、高等教育協定、テニュアトラックプログラムといった、ドイツにおける学術政策の最近の展開について焦点を当てる予定である。さらに、ポピュリズムと反科学の動きがますます広がる世界的な政治情勢について議論される予定である。

年次総会は、アレキサンダー・フォン・フンボルト財団(AvH)、ドイツ学術交流会(DAAD)、ドイツ研究振興協会(DFG)により、共同で開催される。大学、大学以外の研究機関、企業、そしてコンサルタント会社は、70のイベントブースを設置し、研究の場としてのドイツの強みを宣伝し、研究者が帰国する際の助言を行う予定である。内容の濃いワークショップや講義を行うことで、参加者たちに、キャリア形成や政治的な枠組みに関する情報とともに議論の場が提供される。総会では、さらに、いくつかのネットワーキングレセプションも開催される。

DAADのヴィンターマンテル会長、DFGのシュトロシュナイダー会長、AvHのシュヴァルツ会長だけではなく、連邦教育研究省(BMBF)のクヴェネット-ティーレン事務次官と、ヘッセン州のライン科学芸術大臣も、イベント開催のホストとして名を連ねる予定である。

GAINについて

GAINはAvH、DAAD、DFGによる共同プロジェクトとして2003年に設立された。BMBFの支援を受け、すべてのドイツの研究機関と協力し、米国とカナダにいるドイツ人研究者を援助し、研究者間及びドイツとのネットワークの構築に努めている。ドイツ人研究者のドイツへの帰国促進のため、GAINはドイツにおける研究の発展に関する最新情報を提供し、大西洋を挟んだ共同研究を促進する。

DFG:http://www.dfg.de/service/presse/pressemitteilungen/2017/pressemitteilung_nr_35/index.html
 

連邦奨学金(BAföG)の統計: 奨学生数は減少、奨学金額は増加(8月4日)

連邦統計局は、8月4日に2016年の連邦奨学金(BAföG)の統計を公開し、BAföGを受給する大学生及び高校生は、平均して、前年よりも多くの奨学金を受けとったことが明らかとなった。この統計によれば、奨学金の月額平均は再び増加し、その増加額は、BAföGの支援を受けている大学生では16ユーロ(3.6%の増額)、高校生では14ユーロ(3.3%の増額)であった。2015年以降、連邦政府のみから助成を受けるBAföGの2016年における支出額の総額は、約29億ユーロであった。また、2016年の奨学生数は、前年と比較すると5.5%の減少となった。昨年のBAföGを受給する奨学生数の合計は、約23万9000人の高校生と、約58万4000人の大学生を含む、約82万3000人であった。BAföGは、2016年に、入学年度を迎える高校生と冬学期から入学する大学生のために奨学金額を改正した。また、大学生の総数、その中でも2016年に入学した大学生数の増加を受けて、BAföGは、誰もが経済的な理由で、教育を諦めることがあってはならないという目的達成にむけて、引き続き学生を支援していく。

BMBF:https://www.bmbf.de/de/bafoeg-statistik-gefoerdertenzahl-sinkt-foerderbetraege-steigen-4562.html