ドイツ学術情報(過去の分)

大学でのさらなる機会均等のための新しい刺激(2月23日)

女性教授プログラムは三期目に入った。このプログラムは、高等教育機関における女性と男性の地位の均等を促進し、学術界の中で指導的立場にいる女性の数を増やし、その他のポストにおける女性の代表者数の改善を目的とした、連邦政府と州政府の中核をなす方針である。

三期目となる今回の女性教授プログラムは、新たな推進力と飛躍的に増えた手段でもって取り組まれる。若手女性研究者の人材確保とキャリア開発は、このプログラムの中核である。応募する際には、高等教育機関側の相当な努力が必要となってくる。さらに、今回から優秀な機関に対する新たな優遇策として、人材育成や人材確保のための具体策が最高の評価を獲得する高等教育機関(最大で10校まで)に対して、四期目のプログラムの際に、優先的に選出される機会を与える。

連邦政府と州政府は、それぞれが折半で、このプログラムのために2億ユーロを助成している。これまでの助成合計額は、1億5,000万ユーロである。今回のプログラムの助成期間は2018年から2022年までであり、前回までと同様、総合大学や、専門大学、音楽大学、芸術大学も応募可能である。過去二回のプログラムに対して、女性教授の数を増やし、高等教育機関の構造的な変革を起こさせることに寄与しているという評価であった。しかしながら、全体としては、学術的に指導的立場にいる女性の割合と、高い学術的能力を持つ女性の割合は未だ、一致していない。

BMBF: https://www.bmbf.de/de/neue-impulse-fuer-mehr-chancengleichheit-an-den-hochschulen-5700.html
 

フィリップ・シュバルツ招へい事業:迫害を受けている研究者をサポートするプログラムが新たな局面を迎える(2月19日)

フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)は連邦外務省の助成を受け、2月19日に、フィリップ・シュバルツ招へい事業(Philipp Schwartz-Initiative)の第4回目となる公募を開始した。このプログラムは、自国で戦争や迫害にあい、ドイツへの避難を希望する研究者や学者をサポートするものである。このプログラムにより、ドイツの大学や学術機関は、迫害を受けている外国人研究者たちを2年間受け入れ、研究者は自分たちの研究を続けることが可能となる。

このプログラムに対する最新の公募は、すでに始まっている。迫害を受けている研究者を受け入れようとする大学や研究機関は、2018年5月18日までに申請書を提出することとなる。

また、フィリップ・シュバルツ招へい事業により研究者を受け入れている大学が、最長で1年の支援期間の延長を申請することも新たに可能となった。この期間延長は、AvHが最初の半年を助成し、残りの半年を大学が助成する共同支援が必要条件となっている。

「フィリップ・シュバルツ招へい事業は、芸術、学術、言論の自由を積極的にサポートする文化交流政策を支援している。」と連邦外務省の文化・コミュニケーション部門長のゲルゲン氏(Andreas Görgen)は述べる。さらに、「連邦議会議員のサポートを受け、連邦外務省は、将来的に、仲介組織と協力し、迫害を受けている芸術家のドイツへの受け入れも検討している。」と述べる。

「フィリップ・シュバルツ招へい事業を今まで続け、大きくできたことをとても光栄に思うと同時に、連邦外務省の政治的、経済的なサポートに深く感謝する。」とAvHのパーペ会長(Hans-Christian Pape)は述べる。「我々のところに来る研究者は、戦争が起き、命の危険がある国からだけではなく、言論の自由が脅かされている国からも来ている。そのような国にいる研究者や学者にとって、独立して研究し、自由に自分たちの意見を述べることは極めて危険な行為となる。ドイツがそのような人々を受け入れることは、重要であり、国際的にも明確な意思表明である。」と付け加えた。

今のところ、120名以上の研究者たちがフィリップ・シュバルツ招へい事業に採択されており、彼らのほとんどは、トルコかシリア出身である。

AvHは、フィリップ・シュバルツ招へい事業に「危機にある研究者のためのネットワーク」(Scholars at Risk network)や、「国際教育研究所の研究者支援基金」(Scholar Rescue Fund of the Institute of International Education)、「危機にある学術評議会」(Council for At-Risk Academics)等の豊富な実績を有するパートナー機関と協力している。

フィリップ・シュバルツ招へい事業の名は、1933年にナチスドイツからの避難を余儀なくされたユダヤ人の病理学者であるフィリップ・シュバルツ氏に由来している。彼はその後、「在外ドイツ人研究者の緊急組合」(Notgemeinschaft deutscher Wissenschaftler im Ausland)を立ち上げた。フィリップ・シュバルツ招へい事業は、2015年にAvHと連邦外務省により創設され、ドイツや外国の団体からも助成を受けている。

AvH: https://www.humboldt-foundation.de/web/pressemitteilung-2018-08.html
 

持続可能な開発のための教育プロジェクトの強化を模索(2月6日)

最新の研究によれば、大多数の人々が、持続可能なライフスタイルが将来的に必要不可欠であると考えている。それと同時に、このようなライフスタイルが、世界においても、ドイツにおいても十分に実現されていないことも知られている。そこで、持続可能な開発のための教育(Bildung für nachhaltige Entwicklung:BNE)は、持続可能な生活のために、人々の意識改革と適切な行動を促進することを目指す。BNEとは、私たちの生活基盤を維持するための教育を意味する。

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung:BMBF)とユネスコドイツ国内委員会は、2018年に、三度目となるBNEの効果的な実施に向けてのプロジェクトを募集する。2018年5月15日までに、BNEに焦点を充てたネットワーク、教育機関、地域コミュニティーがそれらのプロジェクトに申請可能であり、さらなる持続性に関する革新的なアイデアを持つ保育園、学校、企業、民間団体、大学、ネットワーク、学区ならびに教育環境が求められている。

BNEの国内プラットフォームのメンバー、BMBF、ベルリン自由大学(Freie Universität Berlin)、ユネスコドイツ国内委員会の代表者たちで構成される専門的な審査会が、プロジェクトの採択を行う。

BMBFが、ユネスコドイツ国内委員会と共同で2018年の秋に行うイベントにおいて、採択されたプロジェクトが表彰される予定である。選ばれたプロジェクトは、ユネスコ・グローバル・アクション・プログラムのロゴを使用することが可能となり、加えて、ネットワーク・ミーティングを含む、持続可能な開発を目指すその他のレベルの高いプロジェクトと交流することが可能となる。さらに、ベルリン自由大学が、プロジェクトのさらなる発展に向けて助言をする。

BNEの実施は、世界全体の目標として、国連の2030アジェンダならびにユネスコ・グローバル・アクション・プログラム(2015-2019年)に盛り込まれている。選ばれたプロジェクトは、2017年6月20日に採択されたBNEのナショナル・アクション・プログラムの実施に貢献することとなる。

BMBF: https://www.bmbf.de/de/starke-bildungsinitiativen-fuer-nachhaltige-entwicklung-gesucht-5584.html