ドイツ学術情報(過去の分)
ピーターアンドレ・アルト(Peter-André Alt)氏が新しいHRK会長に就任(4月24日)
ベルリン自由大学長のピーターアンドレ・アルト氏は、8月1日からドイツ大学長会議(HRK: Hochschulrektorenkonferenz)の新会長に就任予定である。4月24日にマンハイムで行われた総会では、任期3年間のHRK会長として、圧倒的大多数でアルト氏が選出された。
次期HRK会長となるアルト氏は、ベルリン自由大学でドイツ言語学、政治学、歴史、哲学を学び、博士号および大学教授資格(Habilitation)を取得した。ルール大学ボーフム、ユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルクで教授職を執った後、2005年にベルリン自由大学に教授として戻った。哲学・人文科学の学部長を2年間務め、2010年にベルリン自由大学の学長に選出された。
現在アルト氏は57歳であるが、2011年から2012年までと2017年から2018年までの2期、ベルリン区域の大学長会議の議長を務めた。 2014年からはGerman U15のCEOを2年間務めた。
アルト氏は、2012年からHRK会長を務めたヒップラー氏(Horst Hippler)の後任となる。
HRK会長の任期は3年であり、1度だけ再選が可能である。 2015年のHRK規則改正後、選考委員会は初めて、アルト氏を唯一の候補者として指名した。
HRK:高等教育協定(Hochschulpakt)の確保―入学制限の防止(4月24日)
マンハイムで開催されたドイツ大学長会議(HRK: Hochschulrektorenkonferenz)の総会では、高等教育協定(Hochschulpakt)以降の将来的な資金提供に関する連邦と州の迅速な合意が求められた。2020年に期間が満了するこの協定は、高等教育機関の資金源として極めて重要であるという。この協定のおかげで、高等教育への需要の急増にもかかわらず、これまで大規模な入学制限を行わずに済んだともいえよう。そのため、政権の連立協定で合意されているような、従来のレベルでの資金の安定化が、適切な措置であるとされた。
将来的に競争的資金を付与する方向性案は、総会によって棄却された。HRKのヒップラー(Horst Hippler)会長は会議後、次のように述べた。「まさに今から競争をしたいのだとすれば、それはこの資金の性格と機能に矛盾することになるだろう。なぜなら、この協定は高等教育機関間の基本的な資金力格差を埋めるためのものだからである。したがって、ここでは特別なサービスに対する追加資金ではなく、需要のある高等教育課程への長期的な資金調達が重要なのである。」
このキャパシティは、入学者の数に合わせて確保されるべきであり、他の要因によって左右されてはならない。
ヒップラー会長は「例えば、教育の質の指標として、また資金配分の基準のために、学位取得者の数を用いる試みは、非生産的なものとなる。資金不足というプレッシャーから、できるだけ多くの学位取得者を生み出そうと、学位取得の要件を下げようとする誘惑が大きくなってしまうだろう。」と語っている。
DAAD外国人奨学生会「リーダーシップ4.0」をバンベルグで開催(4月12日)
ドイツ学術交流会(DAAD: Deutsche Akademische Austauschdienst)は、毎年5回、ドイツ各地の大学で大規模な奨学生会を開催している。2018年4月13日~15日に、オットー・フリードリヒ大学バンベルク(以下、バンベルク大学)で開催される奨学生会のテーマは、「仕事の未来」である。総勢400名の奨学生は、このテーマをめぐって刺激を受けること、そして「リーダーシップ 4.0 —人材開発における現在の課題」や、「グローバルな金融危機と新たなマクロ行動経済学」といった講演に期待を寄せている。プログラムは、バンベルク大学マイケ・アンデルセン(Maike Andresen)教授の講演「実社会の課題 2018」によって始まる。
初日の夜、DAADのジョイブラート・ムカジー(Joybrato Mukherjee)副会長は、バンベルク大学のゴデハード・ルペルト(Godehard Ruppert)学長、ドイツ連邦議会のリサ・バドム(Lisa Badum)議員(同盟90/緑の党所属)とともに奨学生を歓迎する。
90カ国以上からの奨学生は、ドイツで最短でも1年間、法学、経済学、社会学、人文学を研究する。講演者に加え、奨学生も発言し、自らの学術研究の一部を発表する。そのため、この奨学生会は、似たような関心や研究課題をもつ参加者同士を早くから引き合わせる機会となる。これに加えて、奨学生はDAADの担当者と個人的に知り合い、重要な問題についてその場で直接話し合うことができる。
HRK調査:高等教育を受ける難民の増加―学籍登録者数はほぼ3倍に―発展は期待通り(4月10日)
ドイツの高等教育機関における難民の融合は、期待通りに進んでいる。実際に難民の学業の歩みは、ますます成功を収めている。これは、加盟校において実施されたドイツ大学長会議(HRK: Hochschulrektorenkonferenz)の調査によって明らかになった。
2017年~2018年の冬学期と前年の冬学期を比較すると、新たな学籍登録者数は約3,000名にのぼり、およそ3倍に増加している。この数には、学士課程、修士課程、博士課程の登録者が含まれている。本調査への高等教育機関からの回答は、個別カウンセリングの数が増加し続けていることを示している。2015年~2016年の冬学期の問い合わせ開始時期以降、この傾向は顕著である。
ただし、学籍登録の後も、新しく学業を始めた難民や、追加の学業を修めなければならない難民は特別なカウンセリングを必要としていた。高等教育機関の3分の1が女性の難民に、補助的な支援を提供している。学籍登録をしている女性の割合は20〜25%であるが、これは年齢と資格に照らして学業を修める能力があるとされる難民の総数に占める女性の割合とほぼ一致している。
「これらすべてが、高等教育機関にとって、大変厳しい更なる課題である」と、HRKのヒップラー会長は述べている。「これらの課題に可能な限り対応できるよう、既存のプログラムを進歩させ、様々な取り組みを巧みに結びつけなければならない。」
すでに、難民に向けての学業体験や聴講といった制度の需要は明らかに減少している。直接的な学業への準備にはならないこうした制度への参加は、ほぼ半減した。ヒップラー会長によれば、「この大幅な減少は、より多くの難民が学位取得のために構成された準備プログラムの重要性を認めていることを示している」ということである。