ドイツ学術情報(過去の分)

連邦政府が5億ユーロ追加で人工知能の支援を強化(5月23日)

―――焦点は、研究と社会実装、社会との対話―――

連邦政府は、2019年人工知能(AI)支援策に5億ユーロを追加投資することを議決した。焦点となるのは、研究、社会実装、社会的対話、テクノロジーアセスメント、適格性、そしてデータの有用性である。連邦政府はこの追加投資により、AI戦略実施の強化、研究の社会実装と社会的対話に重点を置く。

Anja Karliczek連邦教育研究大臣は「私たちは「メイド・イン・ドイツのAI」で引き続き世界のトップレベルでありたい。AI研究拠点の拡充により、ドイツの卓越したAI研究を国際的にさらに競争力を高め、そしてそれを産業や経済と結びつける計画だ。国内外の優れた頭脳を投入するために、フンボルト財団(Alexander von Humboldt –Stiftung : AvH)と共に国際的に著名な研究者たちをドイツに呼び込む予定である。私たちは研究結果が迅速にドイツの人々の役に立つことを願っているので、自動運転や生命科学のような重要な応用研究領域に的を絞って投資する。」と語った。

Peter Altmaier連邦経済エネルギー大臣は「私たちはAIの分野で、より迅速に研究から応用へ移行しなければならない。重要なのは、特に中小企業が実際にAI技術を活用・応用しているということである。AI技術支援策への追加資金のほぼ半分が研究からの社会実装に使われることを嬉しく思う。連邦経済エネルギー省は、AI技術革新競争や中小企業4.0拠点の優れたAI技術者により、AI技術の現場での適用を推進している。これはドイツ経済の競争力を強化する。」と述べている。

Hubertus Heil連邦労働社会大臣はこう述べている。「AI技術の成功は、人々の信頼と、彼らが自分たちにとってのAI技術の利益を認識しているかどうかに左右される。我々がAI技術を人間中心に活用することを提唱しているのはそのためである。規則の枠組みに加えて、この目的のために広い社会的対話が必要である:ゆえに我々は、AI調査機関を設立して、AIがもたらす結果や、労働や社会に与える効果を調査する。そしてモデルプロジェクトである“将来資金“により、公益のためのAIの発展を推進する計画である。

AI資金の約2億3000万ユーロがAIの社会実装策に投資され、1億9000万ユーロがAI研究と若手研究者支援に使用される。企業の資格付与策に対するのと同様に、約5500万ユーロが社会的対話と参画に、テクノロジーアセスメントと規則の枠組みといったテーマ領域の対策に利用される。

既に追加資金の一部でデータ有用性を向上させるための投資が行われた。モビリティ、健康、環境と気候、行政、航空と農業といった分野において、分野横断的かつセクター別の政策が推し進められるだろう。その根拠は2019年連邦政府予算からの追加予算活用のための共同構想である。連邦政府の予算編成決議案によれば、AI技術の推進のためにさらに5億ユーロが2020年予算から拠出可能であるとのことだ。

BMBF: https://www.bmbf.de/de/bundesregierung-staerkt-die-foerderung-kuenstlicher-intelligenz-mit-zusaetzlich-500-8726.html
 

実用的で有効:ドイツの職業教育を世界中に(5月5日)

―――連邦政府が職業教育国際協力における新たな挑戦に応じる―――

職業教育に関するドイツのノウハウは世界中から求められている。職業教育国際協力局は2018年中、諸外国から230もの問い合わせを受けた。連邦政府はこれらの要望に対し、さらに応じていく構えである。この目標を達成するために、2013年の『職業教育国際協力戦略』が刷新された。将来的には、ドイツの様々な活動がより綿密に結び付けられ、より一層効果的になることが見込まれる。各国との共同の企画は職業教育へのドイツの協力を増加させ、ドイツの関与がより目に見えるものとなるだろう。

インドにおいて職業教育の戦略的なオリエンテーションはすでに首尾よく試行された。そこでは、デュアルシステムの要素が職業教育を受ける集団に導入され、更なる国家戦略がこれに続くと思われる。これからはいわゆるデジタル化や価値創成のグローバル化、優秀な労働力や持続的発展の需要といった世界規模の課題について考慮されていかねばならない。この共同の活動は定期的に審査されている。

「我々はこの職業教育システムの成功法を相手国にとって親しみやすいものにしたい。ドイツは世界的な輸出大国である。メイド・イン・ドイツは相変わらず国際的に名高いブランドである。これは我々の職業教育システムのみならず、我々の製品・サービスにもあてはまることである。我々のパートナー国の多くは職業教育のためのドイツとの協働に興味を示している。」と、連邦教育研究大臣のAnja Karliczek氏は言う。「職業教育の強みは企業での実務経験にあるのであり、事実我々は企業等と共にそれを絶え間なく発展させている。多くのパートナー国は若者のための職業教育システム設計に、まだ企業等を十分に巻き込んでいない状況である。外務省は多くの国との二国間関係において、この職業教育を重んじている。職業教育は失業と優秀な労働者の不足に対する有用な手段であるにとどまらず、社会の持続的発展とその一貫性を促進させるものである。つまるところ、職業教育は企業の競争力のための、さらには社会において繁栄を築くための重要な必須条件である。」連邦外務大臣のHeiko Maas氏は述べる。加えて、職業教育はその国の労働市場における機会と可能性を改善する助けにもなる。「その意味で我々の外国における職業教育へのコミットメントは我々の利益にもなる。」

職業教育協力は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」と、G-20のような多国間で共有されている開発方針の目標に対し、ドイツがコミットするものにあたる。連邦政府は、自国の教育システムを拡張・改善し、若者の雇用を増やそうとしている国々を支援する。それにより、職業教育が移民等の要因を減らすことに貢献するだろう。

連邦経済開発協力大臣のGerd Müller氏はこう強調する。「若者は機会と将来の見通しを必要としている。なぜなら、良い教育を受けてさえいれば、自分自身のため、家族や国のために、何かを築き上げることができるからである。職業教育は若者の将来持続可能な発展の基盤への投資である。ドイツの開発方針が、職業教育への予算規模を2013年以降、2億5,500万ユーロに引き上げているのはそのためである。BMZ(連邦経済開発協力省)の特に先進的な職業教育と雇用政策により、我々は職を作り、若者を鍛えている。他にも、ケニアとエジプトでの職業教育パートナーシップは、新たな職を作り出す一助となっている。

職業教育国際協力は、適格かつ優秀な人材を探す際に海外のドイツ企業とそのビジネスパートナーの両方を支援する。連邦経済エネルギー大臣のPeter Altmaier氏はこう述べている。「我々は相手国におけるデュアルシステムを促進している。我々は海外のドイツ企業のみならず、国内企業に対してもそれぞれに最適な方法で優秀な人材を育成するための支援を行っている。これは企業の競争力のために欠かせない要件である。労働市場で需要がある職業に適したデュアルシステムは、終身雇用を探す若者の可能性を増やすものである。」

結果的に、ドイツの職業教育も他国の経験から恩恵を受け、共同で知見を得ることによってドイツの体制の更なる発展に弾みをつけるのである。

BMBF: https://www.bmbf.de/de/praktisch-wirksam-deutsche-berufsbildung-weltweit-8716.html
 

学術と研究のための質向上(5月3日)

―――共同学術会議(GWK)が学術協定を決議―――

連邦政府と州政府の共同学術会議(GWK)が本日(5月3日)、3つの学術協定の議案(法案)を決議した。これにより、ドイツの学術システムは今後数年間で多大な質の向上が見込まれる。この協定は連邦・州の以下3つの合意で構成されている。

1.「未来協定 学業と教育の強化」により、連邦と州は共同で永続的に勉学と教育の質を改善し、適切なコース及び選択肢を保障する。

2.「高等教育におけるイノベーション」により高等教育の革新性と可視化、意義が強化され、初めて革新的な教育の支援が制度に基づき規定される。

3.「研究・イノベーション協定」が明確な目標協議により、2021年から2025年まで続行する。これは、大学以外の研究機関の国際競争力を上げるための明白なサインである。

Anja Karliczek連邦教育研究大臣は決議に際し、以下のように語った。「今日(5/3)は、ドイツの学術にとって良い日である。連邦政府と州政府の合意に基づき、我々は3つの学術協定で大学と優れた研究を強化していく。連邦政府と州政府は、今後10年間で1600億ユーロ以上をこの国の未来に投資する。今日は国民にとっても良い日である。ドイツは革新的であり続ける。そうあることで、私たちは長期間この国の豊かさを守る。なぜなら優れた大学と研究機関は、私たちの経済力と豊かな未来のための確たる基盤だからである。州政府との徹底的な交渉の結果、共同協定に向けて3つの協定全てについて連邦政府が合意したことを嬉しく思う。この成果はドイツの研究者や学生にとって朗報である。無期限の「未来協定 学業と教育の強化」と「高等教育におけるイノベーション」により、連邦政府は強い大学教育システムのための責任をさらに一層、そして永続的に引き受ける。 私たちは既に4回目となる「研究・イノベーション協定」を続行する。優れた学術団体に 財政計画の確実性を与え、さらに可能性を広げる。大切なことは、経済と社会における研究結果の共有と伝達が引き続き改善されることである。全体として、私たちはドイツの教育と研究、イノベーションにさらに価値をおかなければならない。今日の決議は、これらの方向への道しるべ(道標)である。」

「未来協定 学業と教育の強化」と「高等教育におけるイノベーション」協定は2021年から2030年まで総額415億ユーロの規模になる。研究・イノベーション協定IVにより、連邦政府と州政府は2021年から2030年まで大学以外の研究機関に計約1200億ユーロを準備する。

本日GWKで取り決められた協定は、6月6日連邦首相と各州首相によって最終決議がされる。

BMBF: https://www.bmbf.de/de/qualitaetsschub-fuer-wissenschaft-und-forschung-8537.html