ドイツ学術情報(過去の分)

Brexit: HRKは英国とHorizon EuropeおよびErasmus+との十分な連携を要求(1月31日)

欧州及び英国のパートナーとの共同声明

「英国の欧州連合からの脱退は、欧州統一の歴史における転換点を示している。英国のパートナーとともに、私たちは力を尽くして、この深刻な、苦痛を伴う離脱によって学術の関係性が可能な限り影響を受けないようにする」ドイツの学長会議(Hochschulrektoren-konferenz-HRK)のPeter-André Alt教授は今日、ベルリンで語った。

「ドイツの大学にとってとても重要なのは、欧州と英国のパートナー間の将来の枠組み状況が、現在始まっている移行段階で迅速に明らかにされることである。Horizon Europeの研究プログラムとErasmus +交換プログラムに英国を十分に連携させる必要がある。これは、2021年1月1日以降、両国の利益のために英国の大学や学術機関との密接かつ実証済みの関係を継続する機会を私たちに与える唯一の方法だ。」とPeter-André Alt教授は述べた。

英国の大学は、伝統的にドイツの大学の最も重要な国際的パートナーのひとつである。ただし、2016年6月の国民投票以来、英国のEUからの撤退後の欧州と英国の協力の正確な枠組み状況については、明確性に欠けている。「この不確実性は、長期的かつ信頼できる枠組み状況に依存している学問分野での協力体制にとって逆効果であることがますます明らかになっている」とHRK会長は述べた。

HRKは、36の欧州及び英国の科学機関が、欧州委員会と各国政府に対応する共同宣言の共同署名者である。

「英国とヨーロッパの主要な総合大学および科学である私たちは、英国が欧州連合から撤退した後も一緒に働き続けたいという共通の信念を共有している。我々は、各国政府と欧州委員会に対し、共同政治宣言の精神におけるさらなる協力に基づいて迅速に合意するよう要請する。これの基礎は、英国とHorizon EuropeおよびErasmus +との十分な連携のみである。この分野での迅速な合意は、私たち全員に明確な相互利益をもたらすもので、2020年の年末までに達成されるべきであり、したがって、今後数十年間の革新的かつ緊密な協力の発展を確実にするだろう」

https://www.hrk.de/presse/pressemitteilungen/pressemitteilung/meldung/brexit-hrk-fordert-volle-assoziierung-des-uk-an-horizon-europe-und-erasmus-gemeinsame-stellungn/
 

ベルリンの人工知能(AI)の旗艦プロジェクトのために、連邦政府と州政府が数百万の支援(1月15日)

ベルリン学習・データ基礎研究所(BIFOLD)が首都のAI専門知識を束ねる

連邦教育研究省とベルリン市政府(州政府)-科学研究開発省、ベルリン工科大学の共同プレスリリース

連邦政府のAI戦略の一環として、ベルリンにAI先端研究の旗艦プロジェクトが作られる。ベルリン工科大学に既にある2つのAI拠点、ベルリンビッグデータセンター(BBDC)とベルリン機械学習センター(BZML)は、新しいベルリンの学習・データ基礎研究拠点(BIFORD)と協力し、さらに、ベルリンのパートナー機関との協力体制を拡充する。連邦研究省は、両センターの既存の助成金を新たに1800万ユーロ増額し、その結果 BIFOLDは連邦予算から、2019年~2022年の間に計3200万ユーロ以上の支援を受ける。ベルリン州は、ベルリン工科大学とベルリン自由大学に8つの新しいAI教授職を設置することで新機関を支援する。これに関して、現在のベルリン州予算で既に350万ユーロが使用可能である。

連邦政府とベルリン州は、ベルリン工科大学のキャンパスに、ビッグデータと機械学習のインターフェースで研究と教育、イノベーションを密接に関連させるAIの中核拠点を設ける。目標は、国際的地位と可視性の研究センターを作り、世界的水準の研究を行うだけでなく、AI分野における一流の頭脳のための国際的競争で競い合い、それと平行して、至急に必要とされる未来のAI専門家を育成することである。

連邦教育研究省大臣Anja Karliczek大臣は以下のように述べる:「両方のベルリンAI拠点がBIFOLDに統合されたことは、連邦政府のAI戦略実現(実行)における1つの節目である。BIFOLDにおいて中央のAIコンピテンスが束ねられる。BIFOLDはまた、AIシステムの透明性や説明可能性、そして倫理的観点に関する研究にも重点を置く。これが今、他の大陸のAI研究拠点との違いである。私たちはドイツをAIの先進国(先端拠点)にするための卓越した研究を必要としている。そのため、BMBFはBIFOLDを実現し、資金を倍増することで更なるドイツのAI拠点の拡充を強力に支援している。」

「ベルリンは、ドイツのAI研究を大幅に前進させることができる。BIFOLDは前進への次の大きなステップである。そのために追加の教授職を設置し、ベルリンのAI研究の既存の相乗作用をより強力に活用する。すなわち、現在既に私たちの街には様々な分野でAIを研究、教育する機関と多数の科学者からなる比類なきエコシステムがある。これが、私たちが一緒に発展させている大きな可能性である。」とベルリン市長であり、科学研究大臣であるMichael Müller氏が強調する。

Christian Thomsen ベルリン工科大学学長は、「AIの技術基盤は、大きな民間企業だけでなく、公立大学でもとても重要なものとして研究、開発されることが重要であり、適切である。技術的進歩は今日、これまで以上に規制や透明性、責任についての社会的議論と関係している。また、ベルリン工科大学の不可欠の要素として、社会的問題提起と課題を含めた正しく必要なフィードバックのために、BIFOLDに最も良い条件を提供する。」と述べる。

BIFOLDはコンテンツとして、次の3つの主要な目標を追求する:ビッグデータやデータ管理、機械学習分野のインターフェースでの最先端研究。学術だけでなく経済や社会においてAIというテーマをしっかりと根付かせるための科学技術や手段、システムの開発。そして世界規模で緊急に必要なAI専門家の養成と継続教育。

連邦研究省は、BIFOLDの他にミュンヘン、テュービンゲン、ドルトムント/ボン、ドレスデン/ライプツィヒの各大学にある5つのAI拠点と、ドイツAI研究センターを支援している。連邦政府のAI戦略の一環として、これらのセンターは拡充される。2019年から2022年の間に本来計画されていたAI拠点への助成金6400万ユーロは、この目的のために倍増された。

https://www.bmbf.de/de/millionenfoerderung-von-bund-und-land-fuer-ki-leuchtturm-in-berlin-10659.html
 

„DFG2020 – 知識のための決断“ 国家規模のキャンペーンが自由な学術の価値を示す(1月13日)

社会との対話のための多数の取り組みとユニークな計画/新会長Katja Becker:「学術はすべての人々に呼びかけるべきである」ベルリンでの記者会見

全国規模のキャンペーンにより、DFGは自由で独立した学術の原則とオープンな情報化社会に対する価値を、2020年の活動を通じて公に可視化したいと考えている。2020年1月13日の月曜日、DFGの新会長、Katja Becker教授は、ベルリンにて„DFG2020 – 知識のための決断“の標語のもと、キャンペーンの事業と選定された活動について発表した。

「このキャンペーンによって、私たちは知と学術がいかに大切か、そして、特に今、なぜ何度もそれらに有益になるよう決断を下すことが必要であるのか示したい。」と、医学博士であり、最も大きな研究資金組織である、ドイツの学術の中央自治組織の会長に元旦付けで着任したBecker教授は述べた。

キャンペーンのスタート地点は、1920年のDFGの前身組織である、ドイツ科学非常事態協会(Notgemeinschaft der Deutschen Wissenschaft)の創設である。「しかしながら2020年には、私たちはただDFGの100周年を祝うのではなく、その事業と最良のアイデアの促進について、自ら決断を下す学術研究組織の100周年記念を祝うこととなる。この原則は、文字通り差し迫った難局において確立されたものであり、今日に至るサクセスストーリーである。気候変動、種の絶滅、資源の不足、人口増加といった世界的な課題にとって、ますます重要になっているにも関わらず、学術の自由はどんな場合においても当然のこととされているわけではない。」と、Becker会長はベルリンのサイエンス・フォーラムの記者会見で強調した。「それが、私たちが独立した学術へのコミットメントを社会へもたらし、私たちの国の人々にも参画してもらいたい理由である。」

この目標は、„DFG2020 – 知識のための決断“及び多くの活動と、Becker会長によれば「いくらか珍しい取り組み」によって、達成される必要がある。この「いくらか珍しい取り組み」というのは、DFGとハンブルク・コミュニケーション・エージェンシーの„Mann beißt Hund“、その他の芸術・文化分野方面のパートナーたちによって開発されたもので、非常に多様なターゲット・グループに意図的に対応している。

キャンペーンの中心的な要素は「#fürdasWissen」ツアーとそのためにデザインされたツアーバスで、ベルリンのジャンダルメンマルクトでの記者会見で発表された。春から、演劇とパフォーマンスの集団「Kompanie Kopfstand」のメンバーが、学術の重要性、学術への期待、学術への信頼について約12か所で市民たちと対話するため、DFGに代わってドイツ国内をまわる予定だ。アーティストたちは地元の大学や研究所の科学者や研究者によってサポートを受ける。

ツアーの目的地には、大規模な大学都市だけでなく、学術的な基盤や性質の少ない小さな都市や場所も含まれる。「学術はすべての人にとって重要であるため、すべての人に訴えかける必要がある。既にそれらに興味を持っている人たち、特にこれまでのところ科学との接触がほとんどなかった人たちに対しても」とDFG会長は述べた。「私たちは学術の可能性に対する熱意を伝える必要があるが、その仕組みとその限界についても説明する必要がある。」

ツアーバスは、他の大学や研究機関と同様に、DFGのメンバー機関でも停車し、年間を通じてキャンペーンに独自のイベントをリンクさせていく。このように、キャンペーンは学術によってサポートされ、実行される。

また、ソーシャルメディアを伴ったツアーは、4月にハンブルクで始まる。計画されている他の場所には、バートミュンスターアイフェル、エッセンのゼーシュツォルフェライン、ザンクトピーターオーディングが含まれる。遠征の終わりには、DFGが研究トレーニンググループの30周年記念祝いと、11月初旬のボンの「ベースキャンプ」でのカラフルなパブリックイベントを合同で行う予定である。

また、資金提供組織のボン本部とケルン・ボン地域でも、DFG2020計画で特別にデザインされたバスと路面電車が、年間を通じてこのキャンペーンと独立した学術の価値に人々の注目を惹く。

キャンペーンは、特にオンラインアクション#fürdasWissenを中心に、デジタル形式でふたつめのアクセントを設ける。このキャンペーンでは、興味を持ったすべての人が、#fürdasWissenを選択した理由について、テキスト、画像、動画で説明できるようになっている。「理由は人々と同じくらい多様でありえる。それらはすべて「学術のため」である姿勢が必要である。」とBecker会長は強調する。この声明は、DFGのTwitterチャンネルである@dfg_public及び独自のDFG2020Webサイトで、今日、1月13日の記者会見と同時に公開開始され、継続的に情報が更新される予定である。また、新しく設立されたInstagramのチャンネルは、視覚的要素の強い方法で若い視聴者に働きかけることを目的としている。

DFGは他の組織、とりわけドイツ学術財団連盟と共に、一連の祝賀会を企画している。ドイツ学術財団連盟は、1920年に「ドイツ科学非常事態協会」として設立されたもので、以来業界や民間の財団を通じて、DFGだけでなく学術コミュニティ全体を支援することに取り組んでいる。7月初旬、DFGと連盟は、ベルリンで年次総会を同時に開催する予定である。ハイライトは、7月1日にベルリンのテンポドロームで開催される合同の祝賀イベントで、Frank Walter Steinmeier連邦大統領の出席も期待されている。さらなる協力として、DFGは「私は研究している-私にとって研究とは何か?」というテーマのグラフィック及びデザイン専攻の学生を対象にしたドイツ学生連合の今年の全国ポスターコンペティションに参加している。

これらの活動や他の取り組みを発表する際、DFG新会長は「DFG2020‐知識のための決断」キャンペーンの目標と、新しいオフィスでの個人的な懸念について組み合わせた。「学術は世界の課題を単独で解決することはできない、しかし、これらの課題の大部分は学術の助けを借りなければ解決できない。」と、Becker会長は熱帯医学者としての自信の経験を交えて語った。「ここで重要なのは、独立した学術であり、その発見と価値が科学的な好奇心から生じていて、最初から固定化されていないことだ。科学者、ファンディングの形式とトピック、及び国内と国際協力のすべてのレベルでの思考と多様性の自由のみが、本当に新しい連携、アイデアそして革新可能性をもたらす。このために、私たちは、私たちの社会のあらゆる場面でさらに大きな自覚を促さなければならないし、これは私個人的にもそうしたいと思っている。

キャンペーン「DFG2020‐知識のための決断」と、世界的な課題を考慮するうえで必要である、学術とその組織自体、学術、政治及び社会の相互の「新しい共存」は、1月13日の月曜日の夕方に行われたDFGの伝統的な新年のレセプションでの新会長のスピーチのトピックでもあり、ベルリンでも、科学、政治、外交団、経済、メディア、一般からの400人以上のゲストが期待された。

https://www.dfg.de/service/presse/pressemitteilungen/2020/pressemitteilung_nr_01/index.html
 

シュプリンガー・ネイチャーとProjekt DEAL、世界最大規模の変革的オープンアクセスに関して最終契約を締結(1月9日)

シュプリンガー・ネイチャーとProjekt DEALを代表するMPDL Services GmbHは、本日、世界最大規模の変革的オープンアクセス(OA)に関して、正式に契約書に署名したことを発表した。2020年1月1日付の同契約により、シュプリンガー・ネイチャーが発行するジャーナルでのOA出版と全ジャーナルの購読権が、ドイツ学術界の研究者や学生に提供されることとなる。

※ 本件詳細については、下記URLより各国語記事を参照

≪Hochschulrektorenkonferenzプレスリリース(ドイツ語)≫
https://www.hrk.de/press/press-releases/press-release/meldung/springer-nature-and-germanys-projekt-deal-finalise-worlds-largest-transformative-open-access-agree/

≪SPRINGER NATURE GROUPプレスリリース(英語)≫
https://group.springernature.com/gp/group/media/press-releases/springer-nature-projekt-deal/17553230

≪SPRINGER NATUREプレスリリース(日本語)≫
https://www.springernature.com/jp/news/20200116-pr-projekt-deal-final-jp/17569962