ドイツ学術情報(過去の分)

DFGは新たに14の重点プログラムを設定(5月26日)

「センサー一体型機械要素」から「土壌のシステム生態学」、「ディープ・ラーニングの理論的基礎」に至るまでのトピック / 3年間で約8,500万ユーロ

ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、2021年に向けて新たに14の重点プログラム(Schwerpunktprogramme:SPP)を設定する。これは、DFG評議会の書面手続きにより決定された。当初3月末に予定されていた協議会の会議は、コロナウイルスのパンデミックのために通常通りに開催できなかったため、決定は後ろ倒しされ、書面による手続きにより決定された。応募のあった49の取り組みの中から14の新たなグループが選ばれ、当初3年間で総額約8,500万ユーロが支給される。また、プロジェクトから間接経費として22%のプログラム手当が計上される。

今回承認されたプログラムは、人文科学、社会科学、工学、生命科学、自然科学の全分野をカバーしている。それらのトピックの範囲は、「センサー一体型機械要素」から「土壌のシステム生態学」、「行動科学、社会科学、認知科学におけるディープ・ラーニングと複製可能性の理論的基礎」まで多岐にわたる。プログラムはそれぞれSPPのメイントピックを表している。今後数ヶ月の間に、DFGによってグループごとに個別の公募が行われ、DFGは科学的な質とそれぞれのメイントピックへの貢献度を評価して、次回助成のプロポーザルを審査する。

重点プログラムにおいては、特に現在研究が進んでいる分野や発展途上の分野の科学的基盤を調査することになる。すべてのプログラムは、非常に学際的であり、革新的な手法を用いることを特徴としている。若手科学者の振興 はSPPの中心的な要素であり、さらに、すべての新しいグループが均等に機会を得ることをコンセプトとしている。重点プログラムには6年間資金が支給される。現在、合計99件のSPPが資金提供を受けている。

新たな重点プログラムの詳細
(学問分野別、コーディネーターの所属機関の50音順)

人文・社会科学

・「META-REP:行動科学、社会科学、認知科学における複製可能性の解析と最適化のためのメタ科学的プログラム」
(コーディネーター:Mario Gollwitzer教授、ミュンヘン大学(Ludwig-Maximilians-Universität München:LMU München))

工学

・「不均質粉体のテーラーメイド混合における相乗効果の設計」
(コーディネーター:Lutz Mädler教授、ブレーメン大学(Universität Bremen))

・「テーラーメイド人工鉱物(EnAM)―廃棄物フローから重要な要素をリサイクルするための地質冶金学的なツール」
(コーディネーター:Urs Peuker教授、フライベルク工科大学(Technische Universität Bergakademie Freiberg:TU München))

・「包括的デジタル化のパイオニアとしてのセンサー一体型機械要素」
(コーディネーター:Karsten Stahl教授、ミュンヘン工科大学(Technische Universität München))

・「臨床応用の前段階としてのアクティブバイオシステムのための連続体生体力学インシリコモデルのロバストな結合―モデリング、数値計算、ユーザビリティの共同設計―」
(コーディネーター:Oliver Röhrle教授、シュトゥットガルト大学(Universität Stuttgart))

生命科学

・「原核生物におけるウイルス-宿主相互作用の新概念―単細胞生物から微生物群集まで」
(コーディネーター:Julia Frunzke教授、ユーリヒ総合研究機構(Forschungszentrum Jülich))

・「フェロトーシス:基礎研究から臨床応用まで」
(コーディネーター: Marcus Conrad, ヘルムホルツミュンヘン環境健康研究センター(Helmholtz Zentrum München:HMGU))

・「土壌のシステム生態学―マクロバイオームと境界条件によるエネルギー放出の調節」
(コーディネーター:Sören Thiele-Bruhn教授、トリーア大学(Universität Trier))

・「寄生虫の物理学」
(コーディネーター:Markus Engstler教授、ヴュルツブルク大学(Universität Würzburg Julius-Maximilians-Universität Würzburg)

自然科学

・「プロセス工学における機械学習 知識とデータの出会い:解釈可能性、外挿、信頼性、信憑性」
(コーディネーター:Alexander Mitsos教授、アーヘン工科大学(Rheinisch-Westfälische Technische Hochschule Aachen:RWTH Aachen)

・「高エネルギー効率パワーエレクトロニクス『GaNius』」
(コーディネーター:Sibylle Dieckerhoff教授、ベルリン工科大学(Technische Universität Berlin:TU Berlin))

・「ディープ・ラーニングの理論的基礎」
(コーディネーター:Gitta Kutyniok教授、ベルリン工科大学(Technische Universität Berlin:TU Berlin))

・「熱帯気候変動とサンゴ礁 過去から未来へ―超高解像度の現在の変化率の視点から」
(コーディネーター:Thomas Felis教授、ブレーメン大学(Universität Bremen))

・新機能を持つ統合テラヘルツシステム(INTEREST)
(コーディネーター:Ullrich Pfeiffer教授、ヴッパータール大学(Bergische Universität Wuppertal:BUW))

https://www.dfg.de/service/presse/pressemitteilungen/2020/pressemitteilung_nr_19/index.html
 

国際化の戦略的計画:大学向けの新基幹データポータル(5月25日)

大学の国際化を成功させるためには、信頼性の高いデータベースが必要である。新しい基幹データポータル 「HSI Monitor - 大学の国際性に関するプロフィールデータ」では、ドイツの大学が国際化に関する多くの指標にアクセスできるようになった。このデータポータル は、ドイツ学術交流会(Deutscher Akademischer Austauschdienst:DAAD)、フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)、ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)、ドイツ大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz:HRK)の共同プロジェクトで、連邦教育研究省(BMBF)の助成を受けている。

HSIモニターを利用することで、大学の国際化方策のモニタリングが容易になる。特定のトピックについてモニターが保有するデータを呼び出し、レポートや戦略立案のために評価することができる。ポータルでは、留学生や外国人博士号取得候補者の数、大学の外国人スタッフ、大学の協力関係、DAADやAvHからの支援状況など、幅広い国際化の指標にアクセスすることができる。研究の国際性についても、国際的な参加者を含むDFGのプロジェクトや国際的な出版物のデータなど、様々な指標を用いて記録されている。

HSIモニターの開発

HSIモニターは、DAAD、AvH、HRKが2009年から毎年発行している報告書「ドイツの高等教育機関の国際性に関するプロフィールデータ」をもとに開発された。新しいポータルは、多種多様なデータに簡単にアクセスできるように設計されている。クエリ設計の豊富なオプションにより、多種多様な質問に対応でき、新たな文脈を明らかにすることができる。このように、HSIモニターは、国際化の多くの分野において大学の仕事をサポートすることを目的としている。

基幹データポータル「HSIモニター-大学の国際性に関するプロフィールデータ」は、以下のサイトから利用可能。
https://www.hsi-monitor.de/

HSIモニターの可能性をより深く知っていただくため、合同オフィスでは大学向けのウェビナーを開催する。関心をお持ちの方は合同オフィスで予約を受け付けている。

https://www.humboldt-foundation.de/web/pressemitteilung-2020-10.html
 

コロナによる行動規制に対応し、複数の研究プロジェクトに広範な財政支援。DFG、1億7,500万ユーロのパッケージをまとめる(5月20日)

資金提供を受ける者は、簡便な方法で追加の人的・物的リソースを受けられる/Katja Becker DFG会長「多くの事業の継続と完了のために緊急に必要な保障」

ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、コロナウイルスのパンデミックと社会生活における規制の影響を受けた採択プロジェクトに対し、ただちに追加資金の提供を行う。ドイツ最大の研究資金提供機関であり、ドイツにおける学問の中央自治組織である協議会は、DFG 理事会の提案による一連の措置を承認した。これらの措置により、計画通りに実施できない研究を継続・完了させるために、多くの資金調達手続きにおいて追加の人員・物的資源を申請することが可能になった。この資金は少なくとも1億7500万ユーロの規模であり、これに、DFGの助成金の標準となっている間接経費の22%にあたるプログラム手当が追加されている。

「コロナウイルスのパンデミックとそれを封じ込めるために採用された対策は、多くの研究プロジェクトの制限と遅延につながることは避けられない。これは、実際の研究自体だけでなく、プロジェクトに取り組む人々にも影響を与える。DFG は、このような時間的・経済的な影響を緩和するため、早い段階で初動措置をとった。これには、コスト相応の成果が見込まれるプロジェクト期間の延長のほか、補償的、橋渡し的、追加的な資金提供や、公募期間の延長、フェローシップや博士課程の学生のための雇用契約の延長も含まれる。こういった費用対効果が見込まれる新たな措置により、資金提供を受ける研究者とその関係者に、研究を成功裏に継続するのに必要な追加の保障を与えることになる」と、DFG理事長のKatja Becker氏は、現在の状況を鑑み書面手続きにより行われた協議会の決定を受けて述べた。

今回決定した資金援助は、2020年4月1日から2021年6月30日までの間に資金援助が終了するプロジェクトで、コロナウイルスのパンデミックによりこの期間に事業を継続することができなかったプロジェクトをまずは対象としている。承認された資金を利用できなくなった場合は追加で3ヶ月間申請が可能であり、支援期間中における同期間の受給平均額の80%が上限となる。この規則は、すべての助成金、研究グループ、優先プログラム、その他多くのいわゆるプロジェクト資金調達の手続きに適用され、したがって、30,000以上あるDFGの資金提供プロジェクトのうち大部分が対象となる。

大規模な研究コンソーシアムの場合、現行の助成期間が2020年6月30日から2021年6月30日の間に終了し、継続申請ができない共同研究拠点は、この期間に当初承認されていた平均金額の80%に相当する定額支援を追加で3ヶ月間受けることができる。研究研修グループは、博士課程在学中の研究者の契約期間を通常の36ヶ月を超えて最長48ヶ月まで延長することができる。この目的のために承認された資金が十分でない場合は、当該学生1人当たり、ポストやフェローシップにかかる毎月の支払の3ヶ月分を上限として追加の資金を要求することができる。研究グループ以外のフェローシップ受給者やDFGフェローについては、3月に既に承認されていた、フェローシップの支給を3ヶ月間継続することなどを含む措置を協議会で確認した。

さらに、すべてのプロジェクトにおいて、パンデミックの影響で中止せざるを得なくなったイベントの中止費用をプロジェクト経費として計上できるようになった。2021年秋までに実施予定であったイベントを中止する場合、当初の助成額を維持した上で中止費用を補填することができる。

https://www.dfg.de/service/presse/pressemitteilungen/2020/pressemitteilung_nr_16/index.html
 

カリチェック大臣:新型コロナウイルスの予防についてのより多くの知識(5月18日)

ボンの研究者たちが、健康要因がどのように新型コロナウイルスの感染に影響をもたらすかを研究

連邦研究省大臣アンヤ・カリチェック大臣は本日月曜日、ボンの神経変性疾患ドイツ研究センター(DZNE)で新型コロナウイルスについて情報を伝えた。DZNEは現在、ボン地域の住民研究「ラインラント研究」の参加者に血液検査を求めている。集団検診は、どれぐらいの人が既にコロナウイルスに感染しているかを示すと同時に、どのように異なる健康要因(例:一般的な健康状態やライフスタイル、免疫状態)が新型コロナウイルス感染に影響をもたらすか答えられるそうである。

これに関し、カリチェック連邦研究省大臣は説明する。「私たちは新型コロナウイルス感染症の克服において、数年にわたる専門家の知識を用いることができない。むしろリアルタイムでこの新型コロナウイルス感染症の正しい扱い方を習得しなければならない。そのため、この状態においてドイツ健康研究センターの専門知識を用いることができることを嬉しく思う。これらのセンターが実施するコホート研究は、私たちが病気の影響要因を認識するのに役立つ。それらは経過と治療法の選択肢についての結論を導き出すことを可能にし、とりわけどのように私たちがこの病気を予防することができるかのヒントを与える。「ラインラント研究」やドイツ国内コホート研究のような現存するコホート は、新型コロナに対する闘いにおいて今もとても有益である。利点は明白である。研究参加者は既に募集されており、研究者たちは手元にある知識を利用し、それらを新型コロナウイルス感染に関する特有データと結びつけることができる。それにより彼らは時間を節約し、素早く科学的知見に到達できる。DZNEのプロジェクトは連邦教育研究省(BMBF)によって支援されている。全ての科学者たちとラインラント研究の参加者たちの社会参加に感謝する。このような価値の高い新型コロナに関する研究計画を可能にできるよう、これから数週間や数ヶ月間も引き続き尽力する。」

「新型コロナウイルスの流行を通して社会的生活が鈍化する間、研究は速度を上げた。世界中でウイルス対策に関して研究されている。私たちもDZNEの側から、これらの危機の克服に貢献したいと思う。研究参加者の関心は非常に大きい。結果から、どのようにウイルスが人体に影響を及ぼすのか、そしてなぜ発症する人としない人がいるのかをより良く理解することを期待する。私たちは新型コロナウイルス感染の長期的影響と肉体的そして精神的健康に対するパンデミックの作用も調査する。」とDZNEの科学者で、新型コロナウイルスに関する現在の研究責任者であるモニーク・ブレテラー教授が述べる。

4月24日以降、DZNEの新型コロナウイルスについて現在の研究の一環として既に3000件以上の採血が行われた。集団検診は、感染者数と並んでなぜ罹患者が  無症状や軽症、重症と分かれるのかという重要な問題においても役立つ計画である。それに加え血液検査で新型コロナウイルス特異的抗体が検査される。「ラインラント研究」の流れで既に集計された健康やライフスタイル、免疫状態についてのデータと共にこれらの調査結果の比較を通じて、研究者らは病原体について、そしてどのように異なった健康要因が新型コロナウイルス感染に影響をもたらすのかについての新しい認識を期待している。半年後抗体を持つ人の数がその時までにどう発展を続けたかを見つけ出すだめの追跡検査(調査)が予定されている。現在の最初の一連の調査の科学的結果は、7月以前には期待できない。

背景:

「ラインラント研究」は2016年から続くボン地域におけるDZNEの住民研究である。この研究で、どのような保護因子や危険因子、健康が成人から高齢にいたるまで影響を及ぼすのかを調査している。特別な関心は、人生の中での脳とその変化に向けられている。原則的に30歳以上の全ての人がこの調査に含めることができるが、参加は招待のみ可能である。

5,000人以上の成人が既に参加し、長期的に3万人までが参加する予定である。DZNEは、予防や治療、患者処置の新しい手がかりを開発するためにアルツハイマー病やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などといった神経変性疾患のあらゆる観点を研究している。ベルリン、ボン、ドレスデン、ゲッティンゲン、マグデブルク、ミュンヘン、ロストック/グライフヴァルト、テュービンゲン、ウルム、ヴィッテンの10ヶ所の拠点を通して研究組織内の国内の専門知識を束ねる。DZNEは 大学や大学病院、国内や国際レベルの他の機関と密接に協力している。DZNEはBMBFと所在地の州から支援されている。DZNEはヘルムホルツ協会会員である。

https://www.bmbf.de/de/karliczek-mehr-wissen-zum-schutz-gegen-das-coronavirus-11621.html
 

ドイツと日本の科学者4名にオイゲン&イルゼ・ザイボルト賞2020を授与(5月13日)

DFGが日独の協力に4つの賞を授与/最後の授賞/コロナウイルスパンデミックのため2021年まで授賞を延期

今年、ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)から4名の研究者にオイゲン&イルゼ・ザイボルト賞が授与される。ミュンヘン工科大学(Technische Universität München:TUM)教授で化学者の井上茂義氏、ボーフム大学(Ruhr-Universität Bochum)教授で日本学者のRegine Mathias氏、シュトゥットガルト(Stuttgart)のマックス・プランク固体物理学研究所(Max-Planck-Institut für Festkörperforschung:MPI)教授で材料物理学者の高木英典氏、京都大学教授で法学者の髙山佳奈子氏がそれぞれ受賞し、15,000ユーロが贈呈される。4名は、その長年の努力により、日独の科学交流や文化交流に貢献してこられた。1997年にEugen Seibold、Ilse seibold夫妻が寄付した基金は今回をもって運用の終了を迎えるため、本賞は2020年が最後の授賞となる。

審査員は、学術のグローバル化という新たな現実を反映し、今回、ドイツの科学システムの中に溶け込み活躍する日本人研究者2名を選出した。審査委員長でDFG副会長のJulika Griem氏は、「合計4名の受賞者を選出したことで、DFGはいまいちど日独の協力に強くはずみをつける。」と述べる。「我々は、日独関係に特に力を入れている科学的に優れた4名のアンサンブルを選出したのはもちろんのこと、2人の大変優秀な女性を擁することで、DFGの研究における男女共同参画基準にも沿う結果となったと確信している。」コロナウイルスのパンデミックのため、ザイボルト賞の授与は来年以降となる。

井上茂義氏は、ドイツと日本の交流及び協力に尽力されている研究者である。1980年愛知県生まれ。フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)と日本学術振興会のフェローシップを受け、2008年からドイツで研究活動を行う。2015年、ミュンヘン工科大学でシリコン化学の教授に任命された。2014年には、NHC安定化シリリウムイリデンイオン の合成と触媒応用に関する研究で欧州研究評議会(European Research Council:ERC)スターティンググラントを獲得。井上氏は、ドイツと日本の学術・産業界の若手実務者が両国の研究機関と知ることができるドイツ連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung:BMBF)の「ジュニアエキスパートプログラム(JEX)」にも同行。

高木英典氏は、ドイツにおいても日本においても、材料物理学分野での多くの貢献で知られている。金属-絶縁体転移、高温超伝導、量子磁性に関する画期的な研究を発表。東京の理化学研究所での研究活動及び東京大学教授を経て、2013年にシュトゥットガルト(Stuttgart)のマックス・プランク固体物理学研究所に所長として移り、同時に日本人として初めて、シュトゥットゥガルト大学(Universität Stuttgart)でフンボルト教授の称号を授与された。高木氏はIBM科学賞をはじめ、いくつもの賞を受賞しており、アメリカ物理学会のフェローでもある。現在教授として兼務する東京大学とMPIの研究グループとの緊密なパートナーシップに携わり、日独協力に尽力している。このパートナーシップでは、共同研究プロジェクト、研究者同士の交流、年に一度のワークショップが進行している。

法学者の髙山佳奈子氏は、2005年、日本で最も若い女性法学部教授の一人として京都大学に赴任。研究テーマは、刑事訴訟に参加する一般市民への配慮の重要性、日本における高齢犯罪、刺青に係る刑事罰。1998年にフンボルト財団の助成を受け、ケルン大学で2年間の研究生活を送る。以後、法曹界の若手研究者を対象とした日独会議の開催やフンボルト財団同窓会の活動を行っている。また、国際的な学会やドイツ、日本の学会にも多数所属しており、日本学術会議のメンバーとしても活躍。その功績が認められ、フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞(2018年)や、ドイツ連邦共和国 功労十字勲章小授章(2006年)を受賞するなど、多くの賞を受賞。

DFGのオイゲン&イルゼ・ザイボルト賞は、1997年から日本とドイツの研究者に授与されている。この賞の資金は、Eugen Seibold、Ilse Seibold夫妻による寄付金を原資としている。今年の授賞をもってこの基金の運用終了を迎えたため、今後の授賞は行われないこととなった。海洋地質学者のEugen Seibold氏は、1980年から1985年までDFGの会長を務め、1994年にはアメリカの環境活動家Lester Brown氏とともに日本の旭硝子財団のブループラネット賞を受賞した。Eugen Seibold氏と妻のIlse Seibold博士は、当時、環境賞の中では世界最高額であった40万ユーロの副賞賞金から15万ユーロをDFGに寄付した。

https://www.dfg.de/service/presse/pressemitteilungen/2020/pressemitteilung_nr_15/index.html