ドイツ学術情報(過去の分)
Karliczek大臣:4つの新拠点でがん研究を強化-国立がん研究センターの拡大(9月23日)
連邦研究省大臣が国立がん研究センターの4つの新しい拠点を公表
「がんとの闘いの10年」プロジェクト(Nationalen Dekade gegen Krebs : NDK project)で、ドイツ連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)はがん研究を強化し、それによりがん患者の治療も強化している。ドイツのがん研究の中心的基礎は、国立がん研究センター(Nationale Centrum für Tumorerkrankungen : NCT)である。NCTは、革新的で患者に寄り添うがん研究とがん患者の治療への迅速な橋渡し、学術的後継者の養成を促進する。これまでドイツにはハイデルベルクとドレスデンの2つのNCT拠点がある。Karliczek連邦研究大臣は「がんとの闘いの10年」プロジェクトの始めにNCTをさらなる4つの拠点に拡大するということを告知していた。国際専門家委員会の推薦に基づいて4つの新拠点が選ばれた。これに関してAnja Karliczek連邦研究大臣が説明する。
「私たちは多くのパートナーと共に2019年初めに「がんとの闘いの10年」プロジェクトを立ち上げた。NCTの拡大でがん研究拠点としてのドイツを強化し、とても重要な一歩を踏み出す。4つの新しいNCT拠点は以下のとおりである。
ベルリン
ケルン/エッセン
テュービンゲン/シュトゥットガルト-ウルム
パートナー都市のエアランゲン、レーゲンスブルク、アウグスブルクとともにヴュルツブルク
4つの新拠点のそれぞれは、建設の最終段階においてBMBFから最大年1,300万ユーロを受け取ることができる。所在地のそれぞれの州は建物を設置し、同様に毎年の融資に協力する。 未来のがん医学は、患者ごとに調整され、個人化された診断と治療である。そのため、がん研究を支援するのは重要である。NCTは患者が最適に治療を受けられるよう、先端研究と最も現代的な患者ケアを関係づける。各拠点で科学者と医者は同じ屋根の下で協力して働く。これは実験室から病床までの道のりを短くし、あらゆる面にメリットがある。
NCTの拡大で、今後さらなる研究の成果を臨床試験において試すことができる。これはより多くのがん患者が、がん研究からの最新の知見をもとに新しい治療と診断が受けられるようになる可能性があること意味する。これにより私たちは患者志向のがん研究と多くのがん患者のケア、そしてドイツの学術および臨床研究者の養成をもう一度改善する。これは、がんという病気をますます良く制御する私たちの努力のさらなる礎石である。」
背景
イギリスの分子生物学のパイオニア、Alex Markhamを議長とした国際的専門家委員会の推薦に基づく拠点選択にとって決定的に重要であったのは、学術的優秀性と並んで既存の鑑別や治療、研究も一緒に考えることであり、さらに患者のための明確に認識できる付加価値と革新的に個人化された腫瘍学に関する貢献が、申請において強調されていなければならなかった。4つの選ばれたNCT拠点は、国際的な専門家委員会を最も納得させた。最終的に意見の一致で決まった推薦は、上記の選択基準全てを考慮しており、BMBFは専門家の推薦を疑う余地なく受け入れた。
国際専門家委員会は過去6ヶ月間集中的に申請書審査に取り組み、9月中旬BMBFに選抜推薦を発表した。8カ国から計13名の専門家が委員会に出席した。科学者と並んで2人の患者代表が申請書を審査し、がんに直接関係する人々の視点も選定に影響することを配慮した。
NCT全拠点の良い協力が成功の鍵である。インフラストラクチャーとデータの共同利用、拠点包括的なキャンサーボードにおける意見交換、何が最適な治療であるか、これらすべてが円滑に機能できるよう、あらかじめ合意されなければならない。この調和を得るために、まず1年間の戦略フェーズに出資される。この間に、新拠点は既存拠点と共に管理と共同作業ですでに存在しているすべての重要な問題を解明する。作成された戦略コンセプトは1年後国際専門家委員会に新たに提出され、そこでの肯定的な判定がその後の制度的助成の前提条件である。