ドイツ学術情報(過去の分)

カリチェック大臣:国際協力が研究を成功させる基盤を築く(11月3日)

連邦政府が「教育と科学、研究における国際協力に関する報告2019-2020」を採択

 本日(11月3日)のミーティングで、内閣は2019年及び2020年の教育・科学・研究における国際協力に関する連邦政府の第3次報告書を承認した。

 アンヤ・カリチェック連邦教育研究大臣は次のようにコメントした。

 「国際協力は研究を成功させる基盤を築く。例えば、国際的なネットワーキングと交流により、研究者はコロナウイルスのパンデミックを封じ込めるためのワクチンを最速で開発することができた。また研究は、国際的な協力を通してのみ、気候変動などその他のグローバルな困難に対して有効な解決策を見つけることができる。教育・科学・研究に関する国際協力についてのドイツ政府の直近のレポートは、ドイツの研究・教育の環境は見事に国際的にネットワーク化されていることを示している。このネットワーキングはドイツ政府にとって優先度の高いものである。2020年だけでも、私たちは連邦教育研究省の予算から約13億ユーロを利用可能にした。2020年には、欧州にとって非常に困難な状況の中、ドイツが欧州連合(EU)理事会議長国となった。議長国としての私たちのゴールは、パンデミックとその影響を封じ込めるため、またEUをこの危機から脱出させ以前よりも強くするため、協力して対処することだ。とりわけ、私たちが欧州全域で水素経済の入り口として推進しているグリーン水素戦略が特に成功するよう検討している。『オスナブリュック宣言』により、私たちは職業教育・訓練をさらに強くデジタルと環境保護のための変化に焦点を当てることに同意し、職業教育・訓練における海外滞在期間を増やすことにも同意した。非欧州圏においてでさえも、協力をいとわず、私たちは自分たちの利益・原則・価値のために立ち上がらなければならない。これは、競争が激しくなっていく環境でこれまで以上に必要である。理事会の間、私たちは、『研究の自由に関するボン宣言』でこれを明確にした。」

背景:

 2年ごとに、ドイツ政府は「教育・科学・研究における国際協力報告書」でこれらの分野の欧州と国際的な協力の発展について報告している。そうすることで、ドイツ政府は2015年3月26日の決議(Bundestagsdrucksache 18/4423)に従っている。

 最初の報告書は2017年に発行された。現在利用可能な3つ目の報告書は、2019年から2020年までの期間をカバーしており、2020年にコロナウイルスのパンデミックのことが中心となったドイツの欧州連合理事会議長国に焦点を当てている。パンデミックへの対処と回復という議題に加えて、焦点はグリーン水素、すべての教育セクターでのデジタル化、教育システムをさらに柔軟にすること、2021年から2027年の欧州の教育及び研究プログラム(Horizon EuropeやErasmus+)の交渉などの欧州の研究分野の再構成であった。

 標準的な内容として、報告書は欧州の研究分野のドイツの戦略の実行状況の情報、研究・イノベーションのための欧州フレームワークプログラムや教育・訓練・青少年・スポーツのためのEUプログラム「Erasmus+」へのドイツの参加の情報を提供している。

 また欧州の国、選ばれた先進国、BRICSや新興国・途上国との二国間の交流活動についても示されている。2017年2月に採択された「教育、科学、研究の国際化のための連邦政府の戦略」によって戦略的枠組みが定められている。

 研究・イノベーションのための欧州フレームワークプログラム「Horizon 2020」は、その7年間の期間中、ドイツ研究機関と大学のためプロジェクト資金調達の重要な構成要素として地位を確立した。2014年1月から2020年12月までのプログラムの存続期間の間、ドイツの機関は欧州の資金助成から約92億ユーロを受け取った。欧州のプロジェクトへのドイツの参加の割合は2020年6月には13.3%、「Horizon 2020」を通じた助成金の割合は16.4%であった。これは獲得された助成金の観点では、ドイツがすべての参加国の中でトップである。これはドイツの研究状況の質の高さを強く明示している。

 直近の報告書は、科学・研究に加えて、教育政策の課題もますます重要になってきていることを示している。「AusbildungWeltweit(世界での職業訓練)」プログラムによって、2017年から職業教育・訓練として、BMBFは、研修生と指導者(トレーナー)の海外滞在に資金助成している。EUのErasmus+プログラムが欧州内での学習滞在をサポートしている一方、BMBFのAusbildungWeltweitプログラムは世界中での海外研修において重要な資金的なギャップを埋めている。2019年には、600件以上の滞在が資金助成された(2018年は344件)。2020年には、AusbildungWeltweitプログラムの新しい資金助成ガイドラインが施行された。それから資金調達の機会は拡張され、研修会社・機関に加えて、職業訓練学校や他の研修センターも申請資格を得た。

https://www.bmbf.de/bmbf/shareddocs/pressemitteilungen/de/2021/11/031121-internationale-Koorperation.html

 

カリチェック大臣:研究と開発で、自動車産業の拠点としてのドイツの未来を保障(11月10日)

連邦教育研究省(BMBF)の新しい資金提供ガイドラインで、モビリティ協調行動(Konzertierten Aktion Mobilität)の専門家の推薦を実施/未来の車のために1億3,500万ユーロ

 新しい資金提供ガイドライン「オートモビリティのデジタル化のための電子工学及びソフトウェア開発方法(MANNHEIM)」によって、連邦教育研究省(BMBF)は未来の自動車ITシステムに関する現在の研究需要に対応し、8月にベルリンで開催されたモビリティ協調行動(Konzertierten Aktion Mobilität)の第6回トップレベル会議の専門家の提言を遂行している。産業主導の戦略的に重要な計画の枠組みの中で、極めて革新的な電子工学と新しいソフトウェア開発方法が生まれる。最大で総額1億3,500万ユーロのこの資金助成は、若手研究者や専門家の需要を満たすことに貢献する。アンヤ・カリチェック連邦教育研究大臣がこれについて説明する。

 「ドイツは今後も自動車産業の重要な拠点であるべきである。私は、未来の車のためには徹底的な構造転換を必要であると明確に示している自動車業界未来基金に関する専門家委員会の報告を歓迎する。未来の車は気候中立(実質排出ゼロ)で、ほぼあらゆる点においてデジタルでネットワーク化されなければいけない。自動車分野において国際的にペースを維持したいなら、私たちはイノベーション速度と研究の集約において、絶対に速度を上げなければいけない。それゆえ、自動車産業におけるドイツの価値創造が国際的首位を保持するために、連邦教育研究省は新しい資金提供ガイドラインで理論から実装への移転を促進している。私たちは、電子工学やソフトウェア開発、持続可能なバッテリー構想やドイツでの循環可能な価値創造のような関連分野を強化する。」

背景:

 「モビリティ協調行動(Konzertierte Aktion Mobilität)」(KAM)は、自動車業界の代表者や専門家との交流で生産及びイノベーション拠点としてドイツを強化するための可能性と選択肢を明らかにするため、2019年春にメルケル首相の主導のもと発足された。2021年8月18日のKAMの第6回会議で「自動車業界未来基金」専門家委員会の行動提言が発表された。

 BMBFは、「自動車業界のデジタル化」と「未来のモビリティの持続可能なバリューチェーン」に関するモビリティ協調行動の専門家の提言の実施に対し総計2億2,500万ユーロを按分して資金助成する。

 発表された資金助成ガイドライン「オートモビリティのデジタル化のための電子工学及びソフトウェア開発方法(MANNHEIM)」は、1億3,500万ユーロで将来の自動車のデジタル化のために、未来志向の電子工学とソフトウェア開発方法のテーマを実施する。

 デジタル化は、特に人工知能(AI)を活用することで、プロセスやサービス、車両の自動化・ネットワーク化を可能にする。ただし、これにより車両のデータ量が急速に増加する。計算性能や柔軟性、効率における高い要求は、処理能力だけでなく電子工学・ソフトウェア構成においても新しいアプローチを必要とする。これらの目標に到達するために、将来を見据えた特有の電子工学ハードウェアや性能の良いソフトウェアツール、持続可能なソフトウェアが必要とされる。

 今後、循環型価値創造と持続可能性に焦点を当てたバッテリーセル製造の相乗的な更なる発展についての資金助成ガイドラインが計画されている。

https://www.bmbf.de/bmbf/shareddocs/pressemitteilungen/de/2021/11/101121-Automobilindustrie.html;jsessionid=CDF750E9DB43C3853ABA899D00A60C1E.live721

 

カリチェック大臣:フランスと共に、信頼できる「ヨーロッパ製AI」を促進(11月18日)

ドイツ・フランスの知識・技術移転と先端研究を強化する両国合同プロジェクトの開始

 共同資金助成ガイドラインにより、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)とフランス高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)は、メソッド指向の独立した科学パートナー間の研究協力と、研究機関と企業組織間の提携の両方をサポートする。これにより研究から実践への移転を強化する。本日(11月18日)合同キックオフイベントが行われるフランス・ドイツのプロジェクトの開始にコメントするにあたり、アンヤ・カリチェック連邦教育研究大臣は言う。

 欧州連合(EU)は世界的に見て、キーテクノロジーの最前線にいなければならない。人工知能(AI)の分野における研究と開発は、EUの競争力にとって極めて重要である。フランス・ドイツ資金助成ガイドラインにより、私たちはAI研究において協力し、両国がAI分野で先進的な技術の開発における国際的なリーダーになるための条件を整えている。私たちは長期的で協力的な関係や、欧州における、さらなる研究ネットワークを構築したいと思っている。このように、私たちは信頼できる「ヨーロッパ製のAI」の開発に重要な貢献を行い、私たちの技術的主権を強化する。」

背景:

 2019年1月22日にアンゲラ・メルケル首相とエマニュエル・マクロン大統領によって署名されたアーヘン条約により、両国はフランス・ドイツ間の協力の重要性を再確認した。

 2019年10月16日の仏独合同閣議で、アンヤ・カリチェック連邦教育研究大臣とカウンターパートであるフレデリック・ヴィダル高等教育・研究・イノベーション大臣、ペーター・アルトマイアー連邦経済エネルギー大臣とそのカウンターパートであるブリュノ・ル・メール経済・財務・復興大臣は、AI分野のフランス・ドイツ研究・イノベーションネットワークに署名した。

 2020年4月、意思表明の一環として、ドイツとフランスはAI研究において協力をさらに増強することに合意した。二国間の研究協力のため、またAI分野におけるフランス・ドイツの協力を強固にする研究・開発プロジェクトのための共同資金助成ガイドラインは、この点を考慮して作成された。

 現在、2つの枠(パートナー間及び組織間)を合わせて20の共同プロジェクトに、合計で1,200万ユーロの規模の資金助成が提供されている。

https://www.bmbf.de/bmbf/shareddocs/pressemitteilungen/de/2021/11/181121-Deu-Frz-KI-Projekte.html;jsessionid=C871A7B4013702AFE70E34FE5841B7EE.live471