ドイツ学術情報(過去の分)

ワクチンサミットを終えて:HRK理事長は学生たちを対象としたワクチン接種プログラムを呼びかける(5月28日)

HRK理事長であるピーター・アンドレ・アルト教授は、ベルリンで、連邦首相と州の首相との昨日の「ワクチンサミット」の結果についてコメントした。

 「ドイツにおけるCOVID-19ワクチン接種の進捗の見通しは、全体的にポジティブのようだ。国内で再来週週からスタートする優先順位の撤廃はそのように示している。しかしながら、これは今、特別なグループである学生への組織的なサポートと結び付けられなければならない。

 危機にさらされているのは、ほぼ300万名の、3学期の間、緊急事態にある学生であり、対面授業なしで、同級生との交流もとても制限され、アカデミックな生活の中心である活発な個人間のやり取りもない。大規模なデジタル配信への移行が成功したが、とても長く続いているこの種類の学習への集中は、学生と教員にとって同様に重荷である。

 大学の授業はクラス単位でなく集団の構成を変えながら行われる。そしてしばしば場所を大きく変えて行われる。大学はそれゆえ、学生と教員の高いワクチン接種率に応じてのみ通常の運営に戻すことができる。つまり、個人がコロナの検査をすることでは実現できない。

 この理由により、ワクチンキャンペーンには学生への特別な支援が至急必要である。これは、9月末までだけの包括的なワクチンスキームは、次の冬学期での十分な量の学生の免疫を保証できないためである。(1)ワクチンセンターを特に学生のために開き続けること、(2)大学、特に医学部が学生のためのワクチンキャンペーンに参加すること、(3)学生のために大学に在籍する医師を活用することが解決策になりうる。

 連邦政府のサポートを受けた連邦州は、適切な方法と必要なリソースについて直ちに大学と合意するべきである。」

https://www.hrk.de/press/press-releases/press-release/meldung/after-vaccination-summit-hrk-president-calls-for-targeted-vaccination-programmes-for-students-482/
 

カリチェック大臣:全国奨学金プログラムは、危機の時代においても信頼できる(5月19日)

コロナパンデミックにもかかわらず、奨学生数は高水準で安定。民間資金はわずかに増加。

 連邦統計局により本日(5月19日)リリースされたデータによると、2020年、ドイツにおける州と州に認められた310の大学28,077名の学生は、ドイツの奨学金により資金援助された。COVID-19のパンデミックの影響にも関わらず、民間資金の額は再び増加した。8,100を超す民間のスポンサーにより、参加している大学は合計で2億9,400万ユーロを集めた。それゆえ、合計額は前年と比べて40万ユーロ以上、再び増加した。ドイツ奨学金が10年前に始まってから、民間スポンサーは合計で2億2,600万ユーロ以上を若い才能に投資してきた。

 アンヤ・カリチェック連邦教育研究大臣は次のように説明する。

 「ドイツ奨学金ネットワークは、危機の時でも団結している強固なコミュニティーである。参加している大学が、いかに精力的で創造性豊かにCOVID-19パンデミックの困難に対応し、この難しい時期でさえネットワークを維持しているのは、素晴らしいことである。会社、財団、協会や民間個人はコミットメント(責任・約束)の中で揺るぎはしなかった。多くの場所で、民間スポンサーは継続し、場合によっては、若い才能のためのサポートは拡大し、したがって非常に強い結束の強さを示しているが、この信頼できる協力は、保証されているわけではない。したがって、今年、私たちが一緒に祝っているドイツ奨学金10周年の記念の機会において、私は、すべての関係している人に誠実な感謝を表したいと思う。ドイツ奨学金は、社会において、高等教育の現状において、固くその存在を認められている。

背景:

 ドイツ奨学金は、収入に関わらず、分野を問わず才能があり、向上心に燃える学生に月額300ユーロを支援する。資金の半分は、民間スポンサーから提供され、残りの半分は連邦政府から提供される。奨学金が授与されるとき、大学は上位の成績のみならず、社会貢献、個人の特別な業績、学生の社会的・家族的状況も考慮に入れる。この、ドイツ奨学金の達成するコンセプトの全体的な理解が、若い才能に対して教育機会を切り拓く。

 多くのドイツ奨学金受給者は、2020年の危機の最中でも安定的なままであり、前年である2019年と同じくらい高いレベル(28,159名の奨学生)である。全体として、ドイツの学生の約1%が2020年にドイツ奨学金を受給している。

https://www.bmbf.de/de/karliczek-deutschlandstipendium-auch-in-krisenzeiten-verlaesslich-14490.html

「連邦奨学金法(BAFÖG)デジタル」が5月から更なる州で利用可能に(5月6日)

2万件以上の申請で、デジタル申請アシスタントが滞りなくスタート。現在試験的な方法から実用への移行中

 2020年10月から、ザクセン=アンハルト州、ラインラント=プファルツ州、ベルリン州、ヘッセン州、ノルトライン=ヴェストファーレン州の就学児童と学生は、新しいデジタル申請アシスタント「連邦奨学金法(Bundesausbildungsförderungsgesetz:BAföG)デジタル」を使って、連邦奨学金法(BAföG)による給付に申請することができる。オンライン申請は、現在ハンブルク州でも可能で、5月にブランデンブルク州、テューリンゲン州、ザールラント州も参加する。その他の全ての州では、夏までに「BAföGデジタル」が順次導入される。オンライン申請の開始から、それはすでに、22,000名の申請者によって使われ、現在試験的な過程から実用化に移行している。「BAföGデジタル」はオンラインアクセス法(Onlinezugangsgesetzes :OZG)の実施の一環として開発された。16の全ての州は付随する行政協定に署名した。これは、さらなる開発と申請アシスタントの運営が、OZGの景気刺激策からの資金提供により2023年まで確保されることを意味する。

 アンヤ・カリチェック連邦教育研究大臣は次のように説明する。

「BAföGは多くの若い人たちに勉学の機会を与える。このように、BAföGは、特にパンデミックによって引き起こされた昨今の厳しい経済状況下で、多くの若い人たちのため教育へのアクセスを確実に保証している。それゆえ、私は、「BAföGデジタル」により私たちがこの重要な便益へのアクセスを一貫してさらに簡単にできることを喜ばしく思う。試験的な段階は、非常に成功している。ほかの州でも、今後数週間から数か月で、学生たちにその提案を可能にする。デジタル化は、まさに「BAföGデジタル」のように、学習の新たな機会を広げ、私たちの生活もより簡単にする。

 マルクス・リヒター連邦内務省次官兼連邦政府情報技術担当委員は次のように述べる。「行政は人々の毎日の暮らしに順応しなければならず、他に方法はない。『BAföGデジタル』により、私たちは何千・何百の学生の面倒な紙の手続きを削減できる。私たちは、その正しい道の上におり、スピードを増し続けている。」

 ザクセン=アンハルト州は、他をリードする州として、申請アシスタントの立ち上げに貢献した。科学省のアルミン・ウィリングマン教授は説明する。「『BAföGデジタル』によって学生の資金調達は、デジタルの未来に到達してきている。私たちが申請プロセスをよりシンプルで透明性のあるものにする貢献ができ、喜ばしく思う。試験段階からの統計データは、どのようにうまくそのアシスタントが受領され、どこで私たちが進歩することを必要としているか、明確に示している。そのため、すべての州が徐々に繋がれること、私たちが『BAföGデジタル』をさらに開発し続けることは、なにより重要である」

背景:

 オンラインアクセス法(OZG)の実施の一環として、連邦と州政府は共同で、統一された、ユーザーフレンドリーな(利用者が使いやすい)オンライン申請アシスタント「BAföGデジタル」を開発してきた。連邦内務省、連邦教育研究省、ザクセン・アンハルト州が開発において先導的な役割を担った。

 運営と、申請アシスタントのさらなる開発は、2022年の終わりまでドイツ政府の経済刺激策によって資金が工面される。各州はターゲットを絞ることで開発が軽減され、「One for All」の原理によってサービスは国内に広く利用可能になるだろう。「One for All」は1つの州が中心的にサービスを開発・運営し、そしてその後、ほかの州や地方自治体にも利用可能にするということを意味する。それゆえ後者はほとんどシームレスに申請を引き継ぐことができる。プロジェクトは、OZGによって想定されるように、2022年の終わりまでに、すべての特に重要な行政手続きをデジタル化するための、連邦、州、地方政府による協力の一部である。ゴールは、市民と企業のそれぞれの要望について、オフラインと比べてオンラインでは平均でたった半分の時間で済むようにすることだ。

 特に事例が多く優先されるサービスのため、大いに単純化され、直感的であるデジタル申請手続きは、オンライン使用率を大いに増やせるよう作られている。「BAföGデジタル」申請アシスタントは、すでに2016年から可能になっているデジタル申請手続きを、著しく改善し、標準化するだろう。

 BAföGのオンライン申請は、連邦内務省に代わって、デジタル化ラボにて開発された。選ばれた手法は、開発段階からユーザーに注目するというユーザー中心アプローチだった。デジタル化ラボは、連邦デジタルプログラムにおいて行政手続きのユーザーフレンドリーなオンラインの解決策を開発するための新しく、革新的な手法である。デジタル化ラボでは、相互的なチームがターゲットグループを意識したオンライン申請を、機敏な方法で開発している。これらは、それぞれの州でテーマ別のフィールドワークの中で行われる。

 生徒、学生と親は、すべての開発段階でBAföG申請の最初のテストを行い、フィードバックを行う。学生自治会や地方行政の教育基金のための事務所の中で、申請過程を担当する人々もユーザーテストに含まれた。

 デジタルBAföG申請は非常に明確に、データ量が節約できるようデザインされている。コンフィグレーター(設定)では、すべての関係するフォームを一つのアプリケーションで完結できるよう、申請者にとって単純で、理解しやすい質問のみにする。ダイナミックフォームは、申請者が、関連する質問にのみ答えることができる。加えて、市民に優しいヘルプテキストは申請手続きをサポートする。証拠書類は、申請手続きの間またはあとの日付でコンピューターまたはスマートフォン経由でアップロードすることができる。学生と生徒たちは、彼らの申請の状況をオンラインで確認することができる。

 アプリケーションはレスポンシブ(デバイスに応じて最適な表示に調整する)デザインとなっているため、どんなデバイスからも使うことができる。さらに「BAföGデジタル」は、連邦内務省の連邦ユーザーアカウントを使うことによって申請者の本人確認と認証の安全性が保証される。IDカードのオンライン機能を使うための認証は、最も高いレベルの安全性を提供する。

 時間と費用を節約するために、ザクセン=アンハルト州は州側のリーダーとして、連邦教育研究省は連邦側のリードエージェンシーとして、申請アシスタントを開発し、ほかの州に対して「One for All」の原理と合致するよう利用可能にした。「デジタル化ラボ」をつかったオンライン申請の開発は、連邦内務省によって資金が工面された。

 コロナ景気刺激策から、連邦政府は2022年の終わりまで、さらなる国内に広く「BAföGデジタル」がいきわたり、発展するよう追加的な資金拠出をしている。これは、各州の助けとなり、2023年が始まる頃、参加している州は、そのサービスを運営し、さらに発展させるために、費用を分かち合うだろう。BMBFは、ホットラインのフォームの中の、第一レベルのサポートに資金提供している。オンライン申請は、ザクセン=アンハルト州のITサービスプロバイダーデータポート(AöR)によって、すべての州で運営されるようになるだろう。

 2020年10月から2021年4月末まで、「BAföGデジタル」は、ザクセン=アンハルト州、ラインラント=プファルツ州、ベルリン州、ヘッセン州、ノルトライン=ヴェストファーレン州において、6か月の試験的段階のテストを成功した。すでに、試験の間、機能は改善され、新しい機能が実装された。約22,000件の申請が提出された。

https://www.bmbf.de/de/bafoeg-digital-ab-mai-in-weiteren-laendern-verfuegbar-14403.html

次の立法期間に向けての「インパルス」。大きな課題を克服する鍵となる科学(5月5日)

DFGの論文では、政治的な方向性を決めるための中心的な行動分野と提言がまとめられている/「知識主導型の研究を強化し、知識リポジトリから利益を得る」

 ドイツ連邦議会の第20期の立法機関インパルスペーパーの中で、ドイツ研究振興協会(DFG)は、将来、中心的な課題に直面する際に科学が鍵の役割となり続けるよう、最も重要な実行分野と推薦についてまとめた。「知識主導型の研究を強化し、知識リポジトリから利益を得る」は、最も大きい研究資金配分機関であり、ドイツにおける科学自治のための中心的機関であるDFGが、来る連邦議会の選挙キャンペーンについて政治家に向けた論文のタイトルであり、それはDFGのWebサイトに掲載されている。

 「コロナウイルスのパンデミックのような政治と社会の困難は、科学の解決策が時々、非常に迅速で緊急に求められることを示す。しかしながら、非常に強く必要とされる科学の解決策の発展は、目的のない研究資金に強く依存している」とペーパーの導入部で述べられている。「それゆえ、今までよりも必要とされているものは、科学が導く決定の自由を許し、柔軟な活動をサポートする、先を見通した研究政策である。」来る立法機関で必要な政治的な方向性のため、論文はその次に、活動のいくつかの主要な領域に13の「インパルス」を提供する。

 DFGの視点によると、適切な資金提供とサポートという意味から、ドイツにおける知識主導の研究を強化することは、今後数年引き続き非常に重要となる。コロナウイルスのパンデミックの状況下での新たな負債と、税収の減少にもかかわらず、科学への長期的な投資が必要である。また、継続した予算についての明確な政治のコミットメントは増加し、Paktes für Forschung und Innovation (PFI)の枠組みのなかで、学術機関のためのファイナンシャルプランニングの保障も増えている。知識主導の研究は、テーマ全体にわたって継続的に資金が提供され、促進されるべきである。大学においては、来るエクセレンスストラテジーの第二期の資金調達期間において財政的な枠組みが改善されること、特に、公正な参加と新しい提案の資金提供を受ける機会、プログラムの手当の観点により、グローバルな競争の中でよりいっそうの競争力を保証すべきである。

 DFGのインパルスのいくつかは、デジタルトランスフォーメーションのなかでもとりわけ科学とそのインフラの転換の広範囲にわたる過程にフォーカスしている。来る年に、特に、すべての教科や学問領域における「デジタルの専門知識」の発展と拡大や魅力的なデジタル仕事プロファイルとキャリアパスの発展と強化を通して、これはさらに進み、活用される。重要性を増し続ける研究データの領域において、研究データ管理は長期的に持続可能なものにする必要がある。そのためにはDFGは、ちょうど設立された国家研究データインフラストラクチャー(NFDI)にとって、長期的なサポートを提供すること、またそれを最近のプロジェクトベースのインフラから安定的で長く続くものに作り替えていくことは重要であると考えている。

 印刷出版システムは、信頼性の高い実践的な著作権法のみならず、さらなるオープンアクセスの拡大およびそれの対応した資金調達の仕組みによって、科学に適した方法が考えられるべきである。DFGの視点では、国家レベルの科学出版の基幹インフラを確保することもこの文脈ではますます重要である。また、科学における増え続ける国際的なデータトラッキングの増加を規制することも重要である。そして、需要に見合った大型の科学研究機器と、研究インフラに関連した機器へのファイナンスには資金提供の増加と、研究資金拠出における管理コストの含有が必要である。

 いくつかの「インパルス」は、医療とトランスレーショナルリサーチの進歩をさらに活用することでドイツにおける大学の医療を強化することを狙っている。この方向性での重要なステップは、学術的に始まった臨床試験のためのサポートが増やされた臨床科学者と先進的な臨床科学者のためのプログラムへの長期的な資金拠出と、大学医学部におけるトランスレーショナル・ハブ・ネットワーク設立などである。

 最後に、2つのさらなる「インパルス」として、DFGは、持続可能な農業のための新しい育種技術によって提供される機会を利用することを提唱している。つまり、植物繁殖の領域での政治と科学と社会の間の対話を強化するのみでなく、ヨーロッパ遺伝工学法を最新の状態に改正することを要求している。一方で、遺伝リソースの非営利研究のための統一され単純化された手続きも、ヨーロッパレベルで開発される予定である。

 科学と知識主導の研究とドイツにおける研究資金提供のための財政的、構造的、技術的、法的枠組み条件の方向性を設定することに加えて、DFGの来る立法期間における中心政治タスクのうちの一つは、国際的な科学協力のための基盤を確保し強化することだろう。この点における重要な要素は、科学外交のための一貫した省庁間の戦略の策定、ドイツのための欧州研究領域と欧州研究パートナーの強化、そして国家のポピュリストあるいは権威主義者が世界各地で権力や真実を主張することに立ち向かう科学の自由のための一貫したサポートである。

https://www.dfg.de/service/presse/pressemitteilungen/2021/pressemitteilung_nr_13/index.html

 

カリチェック大臣:全国教育プラットフォーム設立へ(4月28日)

プロトタイプやカリキュラム、教授法の構想開発に1億5,000万ユーロ

 連邦教育研究省(BMBF)は、今週の初めに全国教育プラットフォーム構築のための第一歩を踏み出した。同省は、1億5,000万ユーロで最大4つのプロトタイプを支援する予定である。これらは、ユーザー指向のインフラの核となるものである。特にプラットフォームを介し、デジタル教育シナリオと学習経路に応じたカリキュラムの連携も目指すプロジェクトが支援される。

 これに関してアンヤ・カリチェック連邦教育研究大臣が説明する。

 「本日、全国教育プラットフォーム構築をスタートさせた。このプラットフォームは、ドイツの新しいデジタル教育スペースと教育全体の近代化の中核となるものである。連邦政府として、私たちはこのプラットフォームで我が国の学童から年金受給者までのすべての人がデジタルでサポートされている教育機会へアクセスするのを容易にし、質を向上させたい。これにより、連邦首相と一緒に始めたデジタル教育イニシアティブ(Die Initiative Digitale Bildung)は、このように形を変えつつある。

 コロナパンデミックは、既に今日教育システムにとってデジタル教育・デジタル学習の提供がいかに重要な意義があるのかを明確に示している。事実、パンデミックによってデジタルフォーマットにおける多くの技術的、内容的、教育的な課題が提起されたが、とても良いデジタル教育サービスが存在することも示している。

 私たちは、既存および新規のデジタル教育プラットフォームをヨーロッパ全土で互換性のあるプラットフォームシステムに結び付けたい。この全国教育プラットフォームでは、デジタルでサポートされた教育内容をできるだけ広い範囲でアクセス可能とし、ネットワーク化するインフラが生まれることを望んでいる。

 中心的な目標は、学習者に教育機関あるいは教育段階にかかわらず、全ての教育キャリアを支援する個々の教育コースをオープンすることである。そのため、メタプラットフォームを通じた利用者中心のネットワーク化が主ななアイデアである。これらのプロジェクトはそれゆえ、厳密には新しい学習プラットフォームを目指したものではない。

 今後数年間で、誰もが簡単な方法でそれぞれに合ったサービスを見つけ、安全に使用できるようになるのが理想である。教師は、良いデジタル教材、適切な教育支援そして不正行為防止の実例を見つけることができ、、学習者は、適切な教育プログラムへ個々にアクセスし、役立つデジタルツールへ幅広くアクセスできる。また、市民大学も参加予定である。さらに、ここでは成績証明書や卒業証書といった自分の教育証明書を暗号化して提出することができる必要がある。これは、今後数年間における教育の現代化のための大きなプロジェクトである。」

背景:

・共通のルールと基準に従う分散型デジタルサービスインフラの一部として、全国教育プラットフォームのプロトタイプの開発(目標3)。教育および学習サービスへのアクセスと統合を可能にするために、まず第一に相互互換性、セキュリティと透明性の要件を保証する基本構造を構想する必要がある。これに基づいて、技術的な実現可能性調査によって必要とされるコア機能の基本的な実現可能性を(できればプロトタイプまたは最低限実行可能な製品の形において)証明する必要がある。

・これらの基本アーキテクチャを臨機応変かつ実践的にテストし検証するために、全国教育プラットフォームのネットワーク機能を活用したユーザー中心のデジタルサポート教育を開発し これらの目的に適合させる。これらは、明確に定義されたプロセスと基準を用いて、全国教育プラットフォームの特定の要件に適合した、既存・新規の組織横断的、方法横断的なカリキュラム、および学習の道筋を重視した教育と学習の提供が可能である(目標1)。

・全国教育プラットフォームは、教育者のためのコースをさらに開発し、これらのデジタルインフラを介して、ネットワークからアクセスできるようにするために使用される。デジタル教育および学習シナリオを通して、方法論的知識とすべての教育分野における教師側のデジタルリテラシーを生み出す必要がある(目標2)。

 このプロトタイプは、年末までに、技術的なコンセプトが確立され、2023年下半期までには教育プラットフォームの最初のベータ版のリリースが可能になる見込みである。

 データ主権や、それによるデータ保護に特に注意が払われている。学習者と教師は、データを自主的に管理し、それぞれの利用を決定できる必要がある。データやパフォーマンスの記録は、変化する学習および教育の状況に応じてアクセスできるように、デジタルで安全に保管されなければいけない。

 この発表で支援されるプロジェクトでは、デジタルの教育提供を通じた学習者と教師のニーズと彼ら個々の学習経路に焦点が当たる。全ての年齢層と教育分野について、デジタルに支えられた学習シナリオの中を自由に移動することが可能になる。これらの中にはデジタルコンポーネントを組み込んだアナログ製品も含む。

 全国教育プラットフォームは、それに加えて情報、オリエンテーション、アクセス、参加を個別に提供でき、取得した能力を文書化する予定である。それにより、デジタル教育スペースのビジョンは、デジタル世界での個々に適応可能、柔軟に接続可能な学習のために、既存および新規のデジタル教育プラットフォームを共通の基準およびオープンなインターフェースや利用者中心のエコシステムと結びつけることを目的としている。そして、オンラインアクセス法(Onlinezugangsgesetz:OZG)のコンテクストにおいてもドイツ全土とヨーロッパが接続可能である。

 この方針は、2021年4月26日に連邦官報で発表された。2021年5月25日まで、教育プラットフォームのプロトタイプ開発(目標3)のための助成申請書が提出できる。教育および学習提供とシナリオ(目標1または2)の申請書提出は、2021年6月8日まで可能である。州立および非州立大学、大学以外の研究機関、連盟、協会、その他の組織、および営利企業に申請資格がある。

https://www.bmbf.de/de/karliczek-startschuss-fuer-aufbau-einer-nationalen-bildungsplattform-14324.html