ドイツ学術情報(過去の分)

学術的な不正行為:二人の研究者に対し、盗用のため書面による戒告(9月30日)

ドイツ研究振興財団(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、2件の科学的不正行為に対して警告発出を決定した。1件目は、ある女性研究者がDFG奨学金の申請書で、論文の一部を適切に引用せずに使用したケースで、2件目は、ある男性研究者が共著した論文から文章を適切に引用せずに申請書に転用したケースであった。両方のケースで、調査委員会はDFGの科学的不正行為対応規程(VerfOwF)に基づき、書面での警告を発することを主要委員会に提案し、主要委員会はこの提案を承認された。

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マリオ・ブランデンブルク政務次官:男女平等の理念に基づき、革新的な避妊方法の研究を強化する(9月27日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、「世界避妊デー」に合わせて、すべての性別に対応した革新的な避妊方法の研究を促進するためのシンポジウムを開催した。この会議では、研究、政治、産業界の関係者が集まり、競争力のある研究基盤の構築に向けた話し合いが行われた。イベントで得られた知見や提言は、BMBFが進める「全ての性別のための避妊法研究」助成プログラムに反映される予定である。マリオ・ブランデンブルク政務次官は、「パートナーシップは平等な関係に基づくものであり、すべての性別が避妊や家族計画に平等に関与できるようにする必要がある。そのためには、安全で副作用が少ない避妊方法が必要である。この会議を通じて、さまざまな分野の関係者を結びつけ、国際的にも競争力のある研究基盤をドイツに構築することを目指す」と述べた。

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DFG、7つの新しい研究ユニットと1つの新しい人文・社会先端科学研究センターを支援(9月27日)

ドイツ研究振興財団(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、7つの新しい研究ユニットと1つの新しい人文・社会先端科学研究センターの設立を支援することを決定した。これらのユニットには間接経費も含め約3900万ユーロの資金が提供され、8年間の支援が行われる。さらに、3つの既存の研究ユニットの資金提供も延長される。新しい研究ユニットの1つは、スイス国立科学財団(SNF)の協力で設立された。DFGは現在、197の研究ユニットと12の臨床研究ユニット、17の人文学および社会科学分野に特化した先端科学研究センターを支援している。

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ドイツの研究調査船の将来に向けて(9月26日)

気候変動における海氷や海流の変化、深海の生態などを探るため、ドイツの7隻の研究調査船が毎年、世界中の海に研究者を派遣している。ドイツ研究振興財団(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)と連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、これらの船の運営費用と遠征費を継続的に調達するための新しい資金調達モデルを策定した。この新しい資金調達の背景には、BMBFが建造中であり、2026年半ばに就航を予定している大西洋用の新しい研究船「FS METEOR」がある。これまでは、DFGとBMBFの共同資金で運営されてきたが、今後はDFGの中央研究船資金調達プログラムを通じて専ら支援されることになる。

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科学の公正性に関するオンブズマン:登録団体へ改組され今後は制度的支援を受けることに期待。(9月26日)

ドイツの科学システムにおいて、科学の健全な実践や科学的誠実性に関する相談を行うための独立した中央窓口である、ドイツの「科学の公正性に関するオンブズマン(Ombudsman für die Wissenschaft)」は、設立から25周年を迎え、制度的および財政的基盤を強化し、「科学の公正性に関するオンブズマン」として活動を続けることとなった。今回の改組により、「科学のためのオンブズマン」は登録団体(e.V.)としての新たな財政基盤を得て、引き続き独立した相談機関として活動を強化する。

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シュタルク=ヴァッツィンガー連邦教育研究大臣:スタート・チャンスプログラムの科学的支援として、1億ユーロを提供(9月26日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、スタートチャンス・プログラムの助成金を、カイ・マーア教授(DIPF | ライプニッツ教育研究所)の主導により始まる研究プロジェクトチームに10年間で1億ユーロ交付することを発表した。シュタルク=ヴァツィンガー大臣は、プログラムが「より公平な教育機会を提供し、全ての州で教育協力の新たな文化を創り出す」と述べ、科学的な専門知識を取り入れることの重要性を強調した。研究プロジェクトは、授業の質向上や各州の特有の課題に対応し、教育システムの革新やネットワーキング、専門職の育成を支援する。この取り組みにより、教育政策の本質的な転換を実現することを目指している。

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HRK ADVANCEプロジェクト:国際的な大学間協力の体制を見直し、法的に安全で持続可能な協力体制を構築する(9月26日)

2024年9月23日から26日にかけて、ドイツの大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)は「大学の国際化のガバナンスとプロセス: 持続可能な戦略 – 多様なインパルス」というテーマで会議を開催した。この会議では、大学の国際化を法的に安全かつ持続可能に進める方法について議論され、多言語教育、教職員の国際的な移動、オンライン授業の導入、国際的なキャリアパスに対応した採用プロセスなどが重要な課題として取り上げらた。HRKは、大学が国際的に競争力を保つためには、長期的な視野と適切な法的枠組み、資源の提供が不可欠であると強調した。また、高等教育における国際化を進めることを目的とした「HRK ADVANCEプロジェクト」を通じて、大学の国際化を進めるための5つの指針が策定された。

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第9回コミュニケーションラボでの議論:「移民、気候変動、AIとどのように向き合っていくか」(9月26日)

2024年9月19日から22日まで、ベルリンで開催された第9回コミュニケーションラボ(ComLab#9)は、気候変動や移民問題といった複雑化する世界における自由に関する対立をテーマに、28か国から集まった40人以上の参加者が科学コミュニケーションの課題について議論した。科学とメディアが協力し、移民、AI、気候危機に関する情報を信頼性があり、アクセスしやすく、事実に基づいた方法で伝えるためのアプローチについて話し合われた。最も優れたプロジェクトには、ナイジェリアのデジタル人文学者やスロバキアのジャーナリストなどが選ばれ、オーディエンス賞はフランスの、南極研究を行う学者とセルビアの、気候変動を取り上げるジャーナリストに贈られた。

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BMBFとBMF、ドイツの国家的な金融教育戦略に関するOECDの提案を受け入れる(9月24日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)のシュタルク=ヴァッツィンガー大臣とドイツ連邦財務省(Bundesministerium der Finanzen:BMF)のクリスティアン・リントナー大臣は、9月24日、国家金融教育戦略に関するOECDの提案を受領した。この提案は、金融教育の重要性を認識し、国民の経済的な意思決定能力を向上させることを目的としている。提案には、長期的な貯蓄や退職金制度、金融市場への参加、家計管理、デジタル金融スキル、持続可能な金融商品への投資といった5つの主要要素が含まれる。ドイツ政府は、これらの施策を実施することで、国民がより良い経済的意思決定を行えるよう支援し、金融教育をさらに強化する計画である。

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2024年のフンボルト・アラムナイ賞の受賞者が決定。2025年の新しい応募受付が開始。(9月24日)

フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)は、海外在住のフンボルト財団の元奨学生や研究者による革新的なネットワーキングプロジェクトを表彰するフンボルト・アラムナイ賞の2024年の受賞者を発表した。受賞したプロジェクトは、STEM(科学・技術・工学・数学)分野の女性研究者向けメンタリングネットワーク、ラテンアメリカとドイツの女性人文社会科学研究者をつなぐネットワーク、鉱物資源を分析する研究プロジェクトである。この賞は最大3万ユーロが授与され、ドイツと各国の学術的・文化的つながりを強化することを目的としている。

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2024年の「フンボルト・コスモス講義」において、科学における受容と協力の重要性が強調される(9月23日)

フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)は、2024年のサマー・レセプションをベルリンで開催し、世界中から176名の学者や関係者が参加した。南アフリカの数学者デイヤ・レディ教授が「グローバルな科学における包摂」について講演し、特に積極的に新興国と発展途上国の公平な協力関係を築く責任があると強調した。財団のロベルト・シュレーグル会長も、グローバルサウスとの協力を拡大し、科学の不均衡を解消する意志を表明した。このイベントは、このイベントは、アレクサンダー・フォン・フンボルトが2世紀前に公開した「ベルリン・コスモス講義」を模範にしており、毎年フンボルトの誕生日に合わせて、最新の科学的知見を紹介する講演が行われる。

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ドイツ研究振興協会(DFG)のヨーロッパ賞2024受賞者、欧州青少年科学コンテスト2024でも高い評価を獲得(9月16日)

2024年のドイツ研究振興財団(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)ヨーロッパ賞受賞者4名のうち3名が、ポーランドのカトヴィツェで開催された「EU青少年科学者コンテスト2024」で国際的な賞を受賞した。マヤ・レーバー氏とユリウス・グートヤー氏は「アンチバブル」の生成条件に関する研究で特別賞を受賞し、エディズ・オスマン氏は環境に優しい「垂直離着陸機技術」でポーランドの大学から特別賞を獲得した。次回のコンテストは2025年にラトビアのリガで開催される。

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シュタルク=ヴァッツィンガー連邦教育研究大臣:量子暗号通信に関する重要な実験を開始(9月16日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)が支援する「QuNETイニシアチブ」は、ベルリン大都市圏で複数の拠点を量子暗号通信で同時に安全に接続する初の実験を開始した。QuNETイニシアチブは、量子暗号通信技術の研究と開発を進め、安全なデータ伝送を可能にする基盤を築くことを目的としている。シュタルク=ヴァツィンガー連邦研究大臣は、「サイバー攻撃が増加する中で、量子通信は未来の安全なデータ伝送に欠かせない技術である。ドイツがこの技術でリードし続けるために、早急に実用化を進める」と述べている。この取り組みは、ドイツ及びヨーロッパにおける量子暗号通信技術の発展に向けた重要な一歩となる。

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ドイツ大学長会議による共同声明:テューリンゲン州とザクセン州の選挙を終えて(9月11日)

テューリンゲン州とザクセン州で新しい議会が選出されたことを受け、大学の自治と学問の自由が守られることの重要性に関して学の自治と学問の自由の確保が不可欠であるという共同声明を出した。ドイツの大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)は、「国際的に開かれた視点を持つことが、競争力と未来の発展に繋がる。世界中から多様な背景を持つ人々が大学で学び、働くことができる環境を維持し、差別や学問の自由への制限を許さない社会の実現する」ことを呼び掛けた。

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ブランデンブルク大臣/ミハリック事務総長:質の高い教育の提供が未来のチャンスを作る(9月10日)

経済協力開発機構(OECD)は連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)と各州文部大臣会議(Kultusministerkonferenz:KMK)と共同で、「教育の概観2024(Bildung auf einen Blick 2024)」を発表した。今年のテーマは「教育の公平性」で、各国の教育成果が数値化された指標のもとで比較されている。ドイツでは、職業教育を修了した若者の失業率がわずか2.9%と非常に低い一方、25~34歳の約6人に1人が職業資格も高等教育資格も持っていない課題が明らかになった。これに対し、連邦政府と州政府は「スタートチャンス・プログラム」や初等教育支援、数学教育改善などの政策を進め、教育の公平性を目指している。また、留学生の受け入れが2013年の7%から2022年には12%に増加しており、特にMINT分野(数学・情報学・自然科学・工学)の専攻が51%の留学生が先行していることが強調された。州政府は教育の質を向上させるための取り組みを進めており、小学校教育を支援する「StarS」プログラムや、数学教育を改善する10年間の「QuaMath」プログラム(予算1,700万ユーロ)を導入している。これらの取り組みをにより、将来の人材育成や社会的結束の強化を目指している。

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「大学における持続可能性」に関する監査:HRK、4つの大学への試験的な運用を開始(9月9日)

持続可能な発展がドイツ国内各大学の大学戦略の中心に位置づけられる中、ドイツの大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)は、「持続可能な大学」監査の試験的運用のための資金提供を開始した。この試験的運用は、大学が持続可能な目標を進展させるために、大学の特性に応じた外部相談を提供する。ケムニッツ工科大学やハンブルク大学など4大学が選ばれ、2024年秋から1年間支援を受ける。監査は2026年からすべてのHRK会員大学に支援が開始される予定である。

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シュタルク=ヴァッツィンガー連邦教育研究大臣:子宮内膜症に関する研究への支援を強化する(9月5日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、女性の健康に関する研究強化する取り組みの一環として、子宮内膜症の病因解明を目指す5つの研究ネットワークを支援すると発表した。研究チームは2024年9月から活動を開始し、最大1,500万ユーロの支援を受ける。この疾患は世界中の女性の約15%に影響を与えるとされ、多くの患者が診断を受けるまで長期間を要する課題がある。研究は、不妊症や慢性痛、免疫系や栄養が病態に与える影響などをテーマに、基礎研究と臨床研究の連携によって進められる。この取り組みは、、女性の健康に関する研究を進め、長期的にはジェンダー平等な医療提供に寄与することを目的としている。

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