ドイツ学術情報(過去の分)
2015年
ドイツの高等教育進学率がOECDの平均を大きく上回る(11月24日)
2015年のOECDレポート"Education at a Glance(図表で見る教育) "によって、ドイツの高等学校卒業者の多くが大学や理系の職業訓練機関に進学していることが明らかになった。高等教育機関への進学率は、OECD加盟国平 均で26%であるのに対して、ドイツでは40%であり、ドイツの高学歴化が進んでいることが明らかになった。また、博士課程進学率はOECD加盟国の平均 2.4%に対して5.4%に達し、加盟国第一位となっている。
高等教育機関に進学せず、就職もしていない20~24歳までの若者は、OECD加盟 国の平均では15.5%であり、南欧もしくは東欧の一部の国では30%に上る国もあるが、ドイツでは10%未満にとどまり、ドイツの教育と産業界のニーズ が互いに合致していることが示された。
BMBF:www.bmbf.de/de/trendfarbe-mint-2031.html
ITセキュリティのためのヨーロッパ最大の研究センターをダルムシュタットに設立(11月20日)
連邦政府とヘッセン州は、"European Center for Security and Privacy by Design (EC-SPRIDE) "及び"Center for Advanced Security Research Darmstadt (CASED) "を統合し、ヨーロッパ最大のITセキュリティ研究のためのセンター"Center for Research in Security and Privacy(CRISP)“をダルムシュタットに設立することを発表した。
CRISPによって全般的なセキュリティを強化し、非常に複雑かつ ネットワーク化した情報やコミュニケーション技術のITシステムにおいて、セキュリティとプライバシーの保護のための新しい技術を開発することを目的とし ている。特に、安全なインターネットのインフラ整備やウェブ使用について重点を置いて研究が進められる。
また、CRISPは連邦教育研究省(BMBF)から今後4年間で1,700万ユーロ、2018年までヘッセン州から約900万ユーロの助成を受けることになっている。
なお、CRISPは「新ハイテク戦略(HIT)」の目標の一部であり、これによって科学、産業、研究及び社会の連携に結びつけることを目的としている。
BMBF:www.bmbf.de/de/groesstes-europaeisches-forschungszentrum-fuer-it-sicherheit-gegruendet-2023.html
連邦教育研究省(BMBF)が難民の大学入学を支援(11月13日)
連邦教育研究省(BMBF)は、ドイツに来る難民の半数以上が25歳以下である現状を考慮し、大学で学ぶことを希望し、かつそれに適合する資格を持 つ25歳以下の難民の大学入学を支援することを発表した。今後数年間に渡り、大学に対して約1億ユーロを投資し、難民の大学への受け入れに向けて様々な取 り組みに着手する予定である。
難民を大学に受け入れるための措置として、①当人の能力・才能の測定・評価、②大学での学習に必要な語学能力、専門能力の育成、③大学生活への適応サポートなどの取り組みを行う。
なお、これらの措置はドイツ学術交流会(DAAD)によって実施される予定である。
BMBF:www.bmbf.de/de/fluechtlingen-den-zugang-zum-studium-ermoeglichen-1980.html
ドイツ大学長会議(HRK)が大学等への政府投資を呼びかけ(11月11日)
ドイツ大学長会議(HRK)は、連邦及び州政府に対して、昨年議決した連邦基本法の改正案を実行に移し、まずは大学の運営費交付金、間接経費等の交付及び大学施設建設に対する投資に着手すべきだと求めた※。
また、公的助成を受けた研究プロジェクトについて、間接経費の恒常的な支給と顕著な増加が必要だと求めた。調査によると、プロジェクト経費のうち間接経費は40%を占めているが、実際は22%しか補てんされていないことが分かった。
HRKのヒップラー会長は、「大学は教育に係る費用を削って、研究プロジェクトのために運営費交付金を使っており、この状態はますます強まる傾向にあり、憂慮すべき事態である。」と述べた。
※ ドイツでは、16の州によって独自の大学法を有しており、連邦政府によって統制されない仕組みとなっているが、連邦基本法の改正によって、大学における学 術研究プロジェクト及び大型装置を含む大学の研究設備に関しては、連邦と州政府が協力することができることになった。(日本学術振興会海外センターレポー ト「ドイツの高等教育機関」より要約)
ドイツ大学長会議(HRK)の事務総長にガウル氏が就任(11月10日)
11月10日に開催されたドイツ大学長会議(HRK)の総会において、イェンス=ペーター・ガウル氏が新しく事務総長に就任することとなった。ガウル氏は2016年1月11日付けで就任する予定である。
ドイツ大学長会議(HRK)副会長2名が再任(11月10日)
11月10日に開催されたドイツ大学長会議(HRK)の総会において、現副会長であるバイジーゲル氏とブルクハルト氏が再任された。
ゲッティンゲン大学長のバイジーゲル氏は、2012年からHRKの管理・大学経営を担当し、ジーゲン大学長のブルクハルト氏は、2012年から教育学習担当の副会長を務めている。
ドイツ研究振興協会(DFG)が東北大学とバイロイト大学によるプログラムなど16のGraduiertenkollegを採択(11月9日)
ドイツ研究振興協会(DFG)は、若手研究者の支援プログラムであるGraduiertenkolleg(GRK:大学院博士課程特別コース)事業 を実施しているが、このたび新たに16グループの採択を決定し、そのうち4グループがオーストラリア、日本、カナダ及びアメリカの国際グループ(IGK) であると発表した。
国際Graduiertenkolleg (IGK)はドイツの大学が海外の大学と共同研究プログラムを行うもので、現在38の国際グループが助成を受けており、20の国や地域が参加している。今 回採択が決定したプログラムの中には、東北大学とドイツのバイロイト大学による共同研究プログラムである“Deep Earth Volatile Cycles“が含まれている。
DFG:www.dfg.de/service/presse/pressemitteilungen/2015/pressemitteilung_nr_53/index.html
第2期「教育の質向上のための協定」に基づき、連邦政府が8億2,000万ユーロの大学助成を発表(11月6日)
学生の学習環境を向上させるために、連邦及び州政府によって2010年に締結された「教育の質向上のための協定」が第2期に入り、2016年から2020年にかけて連邦政府は全156大学に約8億2,000万ユーロの助成を行うことを発表した。
この協定において、連邦政府は2011年から2020年までに総額20億ユーロを負担し、残りは州政府が負担することになっている。大学が需要に応 じた教育 を提供し、教育の質を向上させることを目的としている。なお、この協定は高等教育協定2020の第3の柱とされている。
教育の質向上のための協定:大学に優れた人材を備え、大学教員の資格取得を支援し、大学が専門的な教育をさらに維持発展できるよう支援するためのプログラム(日本学術振興会海外センターレポート「ドイツの高等教育機関」より要約)
ノルトライン=ヴェストファーレン州イノベーション・科学研究担当大臣が日本を訪問(11月6日)
11月7日から13日にかけて、ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州のイノベーション・科学研究担当大臣が、大学や研究機関の代表者と共 に日本を訪問する。この訪問は、NRW州の学術上のプレゼンスを高めるとともに、NRW州と日本の高等教育機関との交流を強化することを目的として実施す るもので、特に高齢化社会、男女平等、ロボット分野の最新技術などについて日本の関係者と意見を交わす予定である。
また、今回の訪問では、アーヘン工科大学等と東京工業大学との協定調印や、デュッセルドルフ大学と同志社大学、ビーレフェルト大学と大阪大学の更なる提携強化のためのスケジュールも含まれている。