ドイツ学術情報(過去の分)
DEALプロジェクトとシュプリンガー・ネイチャー、世界最大規模の変革的オープンアクセス契約に関する合意締結(8月30日)
8月30日、DEALプロジェクト側の代表であるMPDL Servicesとシュプリンガー・ネイチャーの間で、合意覚書(MoU)が締結された。これにより、世界最大の包括的なオープンアクセス(OA)契約が年内に締結される見通しとなった。
※本件詳細については、下記URLより各国語記事を参照ください
≪Hochschulrektorenkonferenzプレスリリース(ドイツ語)≫
https://www.hrk.de/presse/pressemitteilungen/pressemitteilung/meldung/projekt-deal-und-springer-nature-vereinbaren-rahmen-fuer-weltweit-umfangreichsten-open-access-transfo/
≪SPRINGER NATURE GROUPプレスリリース(英語)≫
https://group.springernature.com/gp/group/media/press-releases/springer-nature-and-deal-reach-mou-on-largest-oa-agreement/17090258
≪natureasia.comプレスリリース(日本語)≫
https://www.natureasia.com/ja-jp/info/press-releases/detail/8741
政治文化の変化が学問の自由を脅かす(8月28日)
近年、ポピュリズム、ナショナリズム及び攻撃的にエスカレートする新たな思想形態が、西洋の政治文化にますます大きな影響を及ぼしている。言論の自由や寛容といった、自由民主主義の基本的な価値観が攻撃を受けている。ドイツとアメリカの学術におけるこの急進化の帰結についてが、ロサンゼルスのトーマス・マン・ハウスでの2日間のイベントの焦点であった。
ドイツ大学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)のPeter-André Alt会長はこう述べている:「民主主義社会は、自由な意見交換、検証可能な議論の競争、合理的な解決策の探求に基づいている。これらの基盤は、大学での研究と教育にも不可欠である。したがって、大学は政治文化の現在の変化を注視する特別な責任を負っている。大学は、現在の一連の変化を科学的に分析する必要がある。さらに、大学は社会的な議論に従事し、開かれた交流の場として自身の機能を批判的に熟考し、さらに発展させる必要がある。」
ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)のJulika Griem副理事はこう述べている:「研究資金提供機関は学問の自由に対する攻撃に立ち向かい、(学術を)強化する必要があるが、その価値志向とプロセスも検証する必要がある。一方でこのことは、研究者や研究機関の自治を守ることを意味する。もう一方で、科学は社会の枠組みにおいて確立される必要がある。しかしながら、それは現実の権力の背後に引き下がる誘惑に屈してはならない。多元的社会では、結果について論争し、知識を確実性から切り離すことが不可欠である。私たちは、教育機関及び研究機関の規範的基盤の構築のために共に努力しなければならない。この取り組みを数量化され、自動化された方法にシフトするだけでは不十分である。」
「ひどく政治問題化され、対極化された状況は、最も急を要する問題についてでさえ、建設的で開かれた議論をますます複雑にしている。したがって大学は、専門知識に基づいた議論と知識活動の拠点として、また、一般社会に対する手本として、複雑な問題への答えを共同で探求することの意義に関して重要な役割を担っている。今日の大学にとっての重要な課題は、外部からの破壊的な影響と、このミッションを脅かす内部の緊張に対して抵抗することである。最高の教育機関でさえいかに道を見失い得るかは、マッカーシー時代の米国の大学とナチズムが台頭した頃のドイツの大学によって示されている。」と、カリフォルニア芸術大学の名誉学長であり、トーマス・マン・ハウスの名誉会長でもあるSteven Lavine氏は述べている。
「理由へのアピール」:政治文化の現在の変化に対する学術界の反応として、トーマス・マン・ハウスとの協力のもと、ドイツ研究振興協会とドイツ大学長会議の共同イベントが行われる。これは、「ドイツアメリカの友好の年」の一環として開催され、年末まで催される。
ドイツ?留学生に大人気! (8月15日)
ドイツが世界で最も重要な非英語圏の留学先に-ドイツ人学生や研究者もより多くが外国へ
カリチェック大臣:留学生や若手研究者は専門職の需要を満たすためにますます重要である。
ドイツは最も魅力的な非英語圏の留学先としてフランスを追い抜き、アメリカ、イギリス、オーストラリアに次ぐ世界で4番目に重要な留学先となっている。外国人研究者にとって、ドイツは世界で3番目に人気だ。これらは、ドイツ学術交流会(Deutsche Akademische Austauschdienst :DAAD)とドイツ高等教育科学研究センター(Deutsche Zentrum für Hochschul- und Wissenschaftsforschung :DZHW)が今日出版した報告書「世界に開かれた学術 2019 (Wissenschaft weltoffen 2019)」で示された。「世界に開かれた学術」のこの第19版は学生と研究者の国際的な流動性に関する情報源である。
Anja Karliczek連邦教育省大臣は、報告書の出版に際し「ドイツはますます外国の学生や研究者たちをひきつけている。ドイツの大学および学術拠点は国際的にますます魅力的になっている。私たちはそれを誇ることができ、またそれをより良くするよう鼓舞されている。この結果は、ドイツの学術および高等教育システムの高い質を示すだけではない。昨年、4万2000人近くの留学生の卒業生が、ドイツの専門職のニーズに応えるために重要なものであり且つ成長する可能性となっている。」と述べた。
2017/2018冬学期には37万5000人の外国人学生が学籍登録し、その中には勉強目的、あるいは人道的理由でドイツにやってきた、28万2000人のドイツでの大学入学資格を得た留学生を含む。2万4000人の留学生が、亡命が多い8カ国(シリア、アフガニスタン、イラク、ナイジェリア、エリトリア、イラン、パキスタン、ソマリア)の出身である。彼らのうちのほとんどは難民である可能性がある。連邦教育研究省(BMBF)からの資金措置による、DAADの難民のための高等教育プログラムは、彼らの大学への統合に本質的に貢献している。シリア難民は現在、ドイツの大学において6番目に多い外国出身グループである。
今年の報告書の焦点のひとつは、ドイツで勉強する留学生の動機である。彼らはDZHWが実施した第21回社会調査で調査対象となった。回答者の半数以上(52%)にとって、ドイツは第1希望の留学先である。79%にとっては決定の際、キャリアまたは大学に関する動機が意思決定に重要な役割を果たしている。それに加えて83%が良い就職機会への期待、ドイツにおける高等教育の高い質(76%)、国際的に認められた学位(74%)そしてドイツの大学の良い評判(71%)も含む。ドイツは素晴らしい学術の拠点であると考えられている。回答者のうちのの83%が出身国の友人や知人にドイツを留学先として勧めていると述べている。
ドイツ人学生も非常に流動的である。2016年には約14万5000人のドイツ人が外国の大学で卒業を目指して勉学に励んでいた。全ドイツ人学生の約3分の1が在学中に留学を経験している。
「今日のようにこれほど多くのドイツ人学生が外国に滞在したことは今までにない。それでも私たちは若者が国際的な経験の価値を体験できるよう努力を強化しなければならない。新教員養成国際化プログラム(Lehramt.International)と応用科学大学及び専門大学の国際化(HAW.International)で、これまでまだ流動性が少なかった2つの重要なグループに、外国への更なる道筋を開いた。私たちの資金措置イニシアティブに対する高い反響は、時代精神に沿い、グローバルネットワーキングのための大学や学生の需要を満たしていることを証明している。」と、DAADのMargret Wintermantel会長は述べる。
ドイツの外国人研究者の数も同様に、世界規模でのドイツの学術システムの質を強調している。10万8000人以上の外国人研究者が2017年ドイツで働いていた。これには、約4万7500人のドイツの大学の研究者、4つの大きな大学以外の研究機関で働く1万2000人の研究者、ドイツの学術システムにおける4万6000人以上の外国人客員研究者が含まれる。「ドイツの大学の外国人研究者数は過去10年間でほぼ倍増している。この飛躍的な発展は、ドイツの教育と研究に新しい創造的刺激を与え、国際的な関係性を保障する。」とDZHWの Monika Jungbauer-Gans氏は強調する。
現在多くの受け入れ国ではまだ、外国のドイツ人研究者数を比較できるような包括的な数を把握するために必要なデータベースが不十分である。だがDAADとDZHWはスイス、アメリカ、イギリス、オーストリアを含むいくつかの重要な受け入れ国の大学で働くドイツ人研究者の数を集計した。2018年は約3万人で、そのうち10パーセント以上は教授である。2017年はそれに加えて約1万5000人のドイツ人客員研究員と約3200人の客員講師が、海外のエラスムス・プラスのプログラムにより国内外の機関で資金措置を受けた。
BMBF: https://www.bmbf.de/de/deutschland-bei-internationalen-studierenden-begehrt-9380.html
ドイツの人工知能は十分か? (8月14日)
調査はAIの分野において、ドイツが米国やカナダ、中国等の国々と競い合うことができるかを示す
21世紀の主要なテクノロジーに関して言えば、AIは流行語である。この分野では、産業のみならず科学的知識の面においても、ドイツは米国、中国、カナダに後れをとっている印象がある。これは本当だろうか?そうであるならばなぜ、より多くの留学生がRISE Germanyのようなドイツ学術交流会(Deutscher Akademischer Austauschdienst:DAAD)プログラムを活用して知識を深め、ドイツでのキャリアの見通しをより良いものにしているのだろうか?これはひとつの所見である。
米国出身のLisa Meyer-Baese 氏(20)はドイツが大好きだ。これには2つの理由がある。彼女はカッセル(Kassel)にいるドイツ人の親戚を訪ねることができた上、アーヘン工科大学の大学病院でとても快適に過ごしている。ここでは学部学生がワーキンググループ『実験的行動心理生物学』にて活動している。「Klaus Mathiak教授と彼のスタッフのサポートはとても素晴らしいものだ。私はたくさんのことを学べている。」と、ジョージア州アトランタのジョージア工科大学で医用生体工学を研究しているMeyer-Baese 氏は言う。インターンシップ期間に、彼女は脳の解剖学的構造に関する(右利きまたは左利きの)器用さの影響の問題に取り組んでいる。彼女は、たくさんのMRI画像データセットとコントラストイメージングを駆使し、光学産業向けのモデルと方法論を開発している。Meyer-Baese 氏は、DAADが今年RISEプログラムで支援をしている米国、カナダ、英国、アイルランドからの316人の学部学生のうちのひとりであり、彼らはドイツの研究機関や産業界で経験を積むことができる。学生たちは自然科学分野、エンジニアリング科学分野を専攻しており、様々なプロジェクトにおいて、博士課程学生による指導を受ける機会を得ている。
新しい経験:ドイツでのインターンシップ
カナダ出身のTanvi Patil(19)も同じことを経験している。 彼女はこのプログラムとケルン工科大学でのインターンシップに熱心に取り組んでいる。「ここでサイバーセキュリティについて多くのことを学べるので、これは私にとって非常に良い経験だ」。 彼女の現在のプロジェクトでは、ノースカロライナ大学シャーロット校のコンピューターサイエンスの学生がログインの様々なフォームに取り組んでいる。 彼らにとって、このドイツでの有益な経験は、学問を修めた後にドイツに戻ってくる理由にもなる。「コンピューターサイエンスと人工知能の専門家は、ここでは非常に需要がある。」
Uma Wu(22)は現在、まったく新しい体験をしている。 彼女はバンクーバー出身のカナダ人で、ハイデルベルク大学の大学病院でのプロジェクトで医師と協働している。その学際的なチームにおいて、人工知能と機械学習の経験が最も多いのはブリティッシュコロンビア大学から来ているコンピューターサイエンスの学生だ。このことはチーム全体が手術でのロボット使用や内視鏡検査においてバーチャル・リアリティの使用について取り組むのに役立っている。「ハイデルベルクでの私の時間は非常に密度が濃い。手術に関して多くを学ぶことができ、将来AIを通じて外科医師のパフォーマンスを向上させるのに役立てるからだ。」とWu氏は言う。
RISE Germany:インターンシップの活況
この3人の女性は、あるトレンドを象徴している。国際的な経験を持つ若い科学者とエンジニアの需要は、ドイツの産業界と研究界で急増している。同時に、海外からの学生、あるいはポスドクは、ドイツでコンピューターサイエンス、コンピューター工学の経験を積むことにますます興味を持つようになってきている。ドイツは工業大国として世界的に高い評価を得ている。
「私たちは今年、316のインターンシップに対し、学部学生から1900件もの申請を受けた。」DAADのRISE Germany (Research Internships in Science and Engineering) プログラムの責任者であるMichaela Gottschling氏は言う。
「申請者は、インターンシップ中に大学、医療機関、または企業の研究所で働くことができ、英語で博士課程の学生から指導を受けられることに特に興味を持っている。このプログラムはAIのトレンドトピックにも対応している。エンジニアリング科学に加え、生物学、地理、物理学、化学などの分野も、コンピューターサイエンスのインターンシップで提案されている。今年だけでもDAADはこの分野で30の奨学金を与えた。
上昇傾向:エンジニアリング科学研究
この傾向は、ドイツの総合大学及び専門大学においてみられる。39%の機関において、工学は留学生の間で最も人気がある。ドイツの大学に入学した留学生の3分の1は工学を学んでおり、ドイツの専門大学で学んでいる留学生の半分が工学を専攻している。特に大学では、2010年では学生が30000人強だったところ、2017年には63540人に倍増した。インターネットサービスを提供すること、クラウドコンピューティング、データセキュリティ、ビッグデータ、インタラクティブビジュアルコンピューティングなどの分野において、ドイツの旗艦プロジェクトのひとつであるコンピューター科学学部を持つドレスデン工科大学では、コンピューター科学分野の学部学生のプログラムにおいて、留学生の数が2016/2017年の冬学期には55人だったのが、2018/2019年の冬学期には107人となり、ほぼ倍増した。
新しい刺激:AIテクノロジーセンター
別の都市でも同じ傾向がみられる:ザールブリュッケン(Saarbrücken)のドイツ人工知能研究所(das Deutsche Forschungsinstitut für Künstliche Intelligenz :DFKI))だ。現在、65か国以上の国々から約590人の科学者と、460人以上の学生従業員がここで働き、研究している。ザールラント大学のキャンパスに隣接する大学院では、前学期に前年より18%多くの留学生を受け入れた。彼らはインド、パキスタン、中国、あるいはロシア、カザフスタン出身である。この理由は何なのか?
「2つの理由がある。」と、DAADの認知支援システム研究領域の科学ディレクターであるAntonio Krüger教授は言う。「まず、この研究機関はAIとその活用に関する研究で30年間にわたって知られてきた。他方で、私たちはとても意欲のある修士課程の学生に、産業的な環境下で卒業論文を執筆する機会を与えている。」
2019/2020年の冬学期に、自動車会社のZF Friedrichshafen AGは、ザールラント大学のザールブリュッケンキャンパスにAIとデータセキュリティの新しいテクノロジーセンターを開設し、DFKIと協力して自動運転の自己学習プログラム及び自社グループの生産管理を研究する。これにより、コンピューター科学の学士課程を完全に英語で実施する計画同様に、留学生にとっても新たなインセンティブが生まれる。2006/2007年の冬学期以降、修士課程は英語のみで指導されている。Krüger教授によれば、最も優秀な人材を求める国際競争において重要な要件が満たされ、「ドイツでコンピューター科学を研究することは素晴らしいこと」であることを明確に示している。
ドイツのAIの現場へのツアー
ザールブリュッケンのDFKIは、DAADが主催するポスドクネットワーキングツアー2018の拠点のひとつでもあり、海外からの若手研究者たちはAIとその産業界での応用を研究しているドイツ中の大学機関、研究機関、企業を知ることができた。
「参加者20人のうちの多くは既に国際的に活動していた。彼らは米国、カナダ、中国、シンガポール、ベトナム等の出身であり、エンジニア大国で企業や研究機関がAIをどのように応用し、例えばロボット工学でそれをどのように実装するのかに非常に興味を持っていた。」と、DAADの当該ツアーの共同オーガナイザーであり責任者でもあるJulia Hillmann氏は言う。
「ツアー後の反応は非常にポジティブだった。」ポスドクたちは研究の体制や生活の質について、ドイツを称賛した。
DAAD職員のJulia Hillmann氏は、:「72%の参加者が、その後ドイツでの研究滞在を計画し、5人に1人がドイツの会社で働くことをイメージできると言っていると喜んでいる。
中小企業:研究からの新しい推進力
おそらく、9月末に開催される今年のポスドクネットワーキングツアーには、東部ヴェストファーレンの隠れた優良企業であるBeckhoff Automationも登場するだろう。この企業はPCベースの制御及び駆動技術により、インダストリー4.0の最前線にいる。
「私たちの技術を若い外国人科学者たちに紹介し、AIとインダストリー4.0における新しいアプローチについて、彼らと話し合うことを楽しみにしている。」と、研究開発協力プロジェクトマネージャーであるUrsula Frank氏は述べる。
「これは、私たちにとってもWIN-WINな状況だ。なぜなら、中規模の企業として、私たちは常に研究から生まれる推進力や新しいアイデアを受け入れている。」
これがBeckhoff Automationがテクノロジーネットワーク「OWL」のメンバーでもある理由である。このプロジェクトでは、産業と研究が共同でインダストリー4.0ソリューションを開発している。
「DAADのポスドクネットワーキングツアー2019に参加することで、若い外国人科学者をよりよく、より簡単に知る上での新境地を開きつつある。」
ドイツ:産業博物館?
これらすべてを見た後で、私たちは何が言えるだろうか?ドイツ産業連盟(Bundesverband der Deutschen Industrie :BDI))のDieter Kempf会長のような批評家が言うように、米国、カナダ、中国等に追いつくためにAIの課題に対してより多くの熱意とスピードを求めるのが正しいのだろうか?熱意の欠如や進行の遅さは問題ではないと思われる。それどころかむしろ逆である。科学と研究の拠点であるドイツは、21世紀の主要な技術に関してはふさわしい位置にある。これは、DFKIやドレスデン工科大学などにおける旗艦プロジェクトや、AIとインダストリー4.0を結びつけることに特に興味を持つ留学生数の増加や、RISE GermanyやIFI (Internationale Forschungsaufenthalte für Informatikerinnen und Informatiker)等々のプログラムで研究の開始からポスドクの段階までのキャリア全体をカバーすることでドイツのトップパフォーマーを支えているDAADなどによって示されている。米国人と中国人が20世紀の産業博物館としてのドイツを訪れるのはまだ先のことだ。
DAAD: https://www.daad.de/der-daad/daad-aktuell/de/73025-ist-deutschland-kuenstlich-intelligent-genug/
将来の人工知能のためのフンボルト教授 (8月8日)
連邦政府のAI戦略への貢献のため、最大30の教授ポストが用意される
フンボルト財団は2024年までにAIの分野において追加で最大30人分の教授ポストを用意する予定である。これにより、フンボルト財団は、連邦政府のAI戦略に貢献したいと考えており、そのAI戦略ではドイツにAI分野の教授ポストを新設することを目指している。
フンボルト財団のプロフェッサーシップはドイツで最も高額な金額が用意されている研究賞であり、連邦教育研究省から資金措置を受け、実験的研究を行う研究者向けに500万ユーロ、理論的な研究を行う研究者向けに350万ユーロが用意されている。これは外国からの国際的なトップ層の研究者をドイツの大学に惹きつけ、彼らに長期的な可能性を提供している。フンボルト財団のプロフェッサーシップはドイツの大学の経営陣に国際的競争力のある環境を提供し、グローバルな競争で組織を強化する機会を与えている。今のところ、最大10件のフンボルト財団のプロフェッサーシップが毎年与えられている。ドイツのAI分野に特化して、毎年さらに6名の教授を募集することができ、今から推薦可能となっている。
「人工知能の研究は、技術的に対応できるだけの問題ではない。社会的、法的、倫理的な側面も考慮しなければならない。」とフンボルト財団のHans-Christian Pape会長は言う。「フンボルト財団のプロフェッサーシップは、私たちの将来にAIが提供する機会を包括的に研究し、活用することに役立つだろう。そして、この重要な研究分野において、ドイツを国際的に魅力的で影響力のある場所として強化することに貢献する。」連邦教育研究省のAnja Karliczek大臣は、今年5月に行われたフンボルト財団のプロフェッサーシップのアワードセレモニーで、新しいAI教授ポストの導入を発表していた。AI研究のプロフェッサーシップのために、技術分野の研究者のみならず、AI研究の社会経済的、倫理的且つ法的な側面を扱う研究者も推薦可能である。さらに、すべての分野で最大10名分のプロフェッサーシップも通常通り募集している。
AvH: https://www.humboldt-foundation.de/web/pressemitteilung-2019-15.html